新潮文庫<br> 黒革の手帖(下)

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新潮文庫
黒革の手帖(下)

  • 著者名:松本清張【著】
  • 価格 ¥616(本体¥560)
  • 新潮社(2011/10発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101109541

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内容説明

元子を恨む波子は楢林と別れ、大物総会屋をパトロンにクラブを開く。政治家秘書の安島を通じ、医大の裏口入学者のリストを手中にした元子は、橋田をおどし、一流クラブ、ルダン買取りの仮契約を結ぶ。しかし、橋田、安島らの仕組んだ罠が元子を待ち受ける。安島との一夜での妊娠に怯える元子の前には黒服の男たちが……。夜の世界に生きる女の野望を描くサスペンス長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

miyumiyu

114
下巻は一気読み。ストーリーは知っていても先が気になって止まらない。因果応報、悪銭身につかず、女の欲と執念とは恐ろしい。これらを飽きさせない展開で見事に描き切っている。社会派推理小説の巨匠・松本清張の冷や汗もののサスペンス。「砂の器」もそうだが、壮絶で哀しい余韻が残るラストが素晴らしい。不朽の名作は何年経っても色褪せない。本当に見事でおもしろかった。あのラストがどんな展開か、武井咲がどう演じるかが楽しみだ。2017/08/22

Atsushi

107
下巻はほとんど一気読み。議員秘書安島から入手した裏口入学リストをネタに、元子は予備校理事長橋田を脅し赤坂の土地譲渡の念書を得る。さらに、その転売代金を元手に銀座の高級クラブ「ルダン」購入を目論む。因果応報とはいえ、あまりにも救いようのないラストに背中が凍りついた。2018/07/03

エドワード

107
これは因果応報の物語である。元子は持ち前の頭の回転の速さで、銀座最高のクラブの買収まで後一歩と迫る。しかし別の角度からは、一人の悪目立ちする女が身の程知らずの暴挙に出ているとしか映らない。総会屋を頂点とする権力者たち。赤坂の料亭の身売り話には周到な罠が仕掛けられていた。陰謀はクラブではなく料亭で企まれるものだ。孤軍奮闘の彼女の理詰めの戦法は後半一気に崩れる。彼女がだしぬいた男女が玉になって復讐する。悪銭身につかず。原口元子に同情の余地はあるのだろうか。そして彼女はヒロインだったのだろうか。所業は無常なり。2017/08/15

hatayan

105
政治家秘書の安島を通して手に入れた裏口入学のリストを医大予備校の理事長の橋田に突きつけ、さらなる野望をたぎらせる元子は恐喝したカネを元手に銀座の名門クラブの買収へ。仮契約を済ませ現金を橋田から受け取る段になって、関係者のよそよそしい接し方に不信感を抱いた元子は自分を取り巻く壮大な罠が仕掛けられていることに気づきます。結末は予想できるものでしたが、元子が過去に踏み台にした相手から倍返しさながらの報復を受ける様はあまりに痛々しく、まるでホラー映画を見ているよう。終盤の畳みかける展開が忘れがたい作品でした。2020/09/08

ゴンゾウ@新潮部

105
強かな計算で男達を手玉に取ってきたはずの元子が、一転して窮地に立たされる。綿密に計画された元子に対する反撃の罠。蜘蛛の巣にかかった蝶のように徐々に追い込まれていく。身から出た錆ではないが、悪いことは出来ないということか。銀座を舞台に魑魅魍魎とした世界が繰り広げられるが、それだけではなく産婦人科の脱税、予備校をめぐる裏口入学、架空口座による脱税等社会問題にもメスを入れている。2015/07/12

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