内容説明
「これって青春?」「どうやらそのようですね」ーー。思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに“私”は文芸部の顧問に! 清く正しくまっすぐな青春を送ってきた“私”には、思いがけないことばかり。不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。ほか短篇「雲行き」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
702
ひとり文芸部、という状況を苦にせず、ひたすら活動を続ける垣内君。「私」と同じような部活動での経験が、彼をそのようにさせたのだろうか。いやもっと積極的に考えたいものだ。最後に「私」も高校時代のしがらみから救われるが、物語は表面的には明るく、それでいて何となく殻を脱しきれないもどかしさの中で一年が流れていく。「これって青春ですか」というセリフは、この物語世界全体について、問いかけているような気がする。タイトルは「神様」だけど、わたし的には「図書館の仙人」になりかけて、それを放棄し、別の道で成就する話に見える。2014/12/30
しんごろ
635
高校の顧問と部員1人しかいない文芸部の話!2人とも過去に心に傷があり、先生なのに生徒っぽいというかガキっぽい清(きよ)に、生徒なのに大人っぽい垣内くんのふたりのかけあい、やりとりが、妙に心地よかったです(^^)1年間の2人っきりの文芸部活動が、2人を成長させて、特に荒んでる清が再生していく姿にほっこりしますね(^^)垣内くんが、ホントに高校生かよ!と思う発言、言葉は読んでる側にも、心に染みる名言です(^^)短篇『雲行き』は義父と娘の間の複雑な気持ちがうまく、これから仲良くなるのかなと思う作品でした(^^)2016/09/28
zero1
620
清(きよ)は高校の国語講師で不倫していた。過去にいたバレー部で事件があり、そのことがトラウマに。学校ではそのバレーではなく何故か文芸部の顧問に。部員は垣内ひとり。無知な清に比べ冷静で優秀な垣内。互いに過去の傷については触れない二人。「僕は毎日違う言葉をはぐくんでいる」(P50)は名言。瀬尾は実際に9年間、一年契約の講師で教壇に立ち採用試験を受け続けた経験がある。試験に落ちることが作品の肥やしになっていた。再生の物語を描くには、挫折を知っている作家でなくては。読むのは4回目くらいだが何度でも再読したい一冊。2019/03/11
さてさて
504
〈0〉章から始まる物語は、主人公・早川清(キヨ)のこれまでの生い立ちが駆け足で語られるところから始まります。そして、学校の図書館を舞台にした教師と部員の二人だけという文芸部の一年が淡々と描かれていきます。あっさりと、さっぱりと、そしてどこかまったりとした印象を受ける物語。それは、うっかりすると見逃してしまいそうな、気づけないような存在、『図書館の神様』をそこに感じる物語。すぐには気づけなかった『図書館の神様』の存在に、ふと気づくことができた読後に、ほっこりとしたあたたかさに包まれるのを感じた作品でした。2022/02/08
HIRO1970
504
⭐️⭐️⭐️瀬尾さんは6冊目。薄い本なのですぐ読めます。今回は珍しく、もうひとつな感じがしました。大分、瀬尾さんに慣れてきたのでしょうか?次回に期待します。2016/09/15




