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内容説明
戦後日本はこうしてつくられた。〈自立〉か〈協調〉か、〈自由〉か〈統制〉か――歴代首相の立ち位置は吉田との政治的距離で決まっている。今の日本政治は昭和の歴史から何を学ぶべきか。吉田を知ることなく、今の日本を語ることはできない! 平和憲法、サンフランシスコ講和、日米安保──。戦後日本のかたちをつくった宰相と日本人たちのドラマを鮮やかに描き出す。(講談社現代新書)
目次
序章 昭和のなかの吉田茂
第1章 大陸の嵐のなかで
第2章 政党政治と外交―外交優位の体制を求めて
第3章 危機の時代の外交官=吉田茂
第4章 復活を期して
第5章 戦前を生きる戦後の吉田茂
第6章 占領下の「自由」
第7章 敗戦国の「自立」
終章 「吉田ドクトリン」のゆくえ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
り こ む ん
27
おおまかな、戦前の外交官時代から、戦後の長期政権の終焉までの吉田茂氏の政治史。政党政治の枠組みの変化、戦後の混乱期、経済の回復、主権回復を目指す努力と行動力。そして決断力。今の政治家にはあるのだろうか?何も見えないと思うのは…政治参加をしなくなった国民の姿勢に問題があるのか?もっと政治家も国民も向かわなければならない、見なければならないモノに関心を持たないとな…。2014/09/24
那由田 忠
17
平和主義者として戦前・戦中における吉田の動きや、戦後の憲法9条をめぐる巧みな政治運営について改めて知ることができた。問題点がいろいろあったとはいえ、こうした吉田の活動なしで現在の「平和主義」をベースにした日本社会が生まれなかったこと、この意義はもっと強調されるべきだと思った。その意味でいい勉強になった本である。2020/07/30
RED FOX
11
占領日本時代がここずっと興味あるのですがやっぱ吉田が気になる。戦前から戦後まで吉田さんの動きが常に面白くて共感持てます、特権階級ながら(笑) まあ著者の贔屓もありましょうが吉田さんに任せておけば戦争にもならずに済んだのでは、とか妄想しちゃいそう。戦後レジームで金と平和と国力をつけて、それも使い果たしそうな日本ですがさあどうしましょう、吉田さん。2017/04/17
ジュンジュン
10
吉田茂の歴史的意義を検証する。ただ、類書は多いので、”それまで”をバッサリ切って、昭和2年の張作霖爆殺事件から始めたのは正解。新鮮味はなくても、本書の魅力は、政治的に自立と協調、経済的に自由と統制、二つの対立軸を設定して図式化する分かりやすさ。まるで予備校の授業のよう、要領よくまとまっている。2022/04/05
おらひらお
7
2009年初版。現在、否定的に捉えられがちな吉田茂の業績ですが、戦前の外交官時代からその活動をトレースし、その政治的遺産は継承していくべきものと指摘しています。たしかに改憲や日米安保廃棄は矛盾の解消になっても、経済発展と平和を損なう可能性が高いですよね。日本では国内で喝采を浴びる強気の政策を取る時に、方向性を誤ることがあるので要注意ですね。2014/07/20