内容説明
日本一のアマチュア写真家、井上孝治。三歳で聴覚を失った彼は、コンテスト荒らしの異名をとる写真の実力で、ついに、アルル国際写真フェスティバルに招待される――。異色のろうあ写真家の生涯を追う!
目次
蘇った写真
四冊の古いアルバム
写真との出会い
井上カメラ店開業
「決定的瞬間」を撮る
米軍基地の友人
返還前の沖縄への旅
ろうあ運動のリーダーとして
全国のろうあ写真家を一つに
『想い出の街』
三十二年目の沖縄再訪
アルル国際写真フェスティバル
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
20
田口ランディさんの本から。たまたま沖縄に住む友人が来ていたのでポツポツ話しつつ。何かを持たないからこそ、何かがより発達している人が生み出す、不思議な視点。そして、簡潔化された思考。生み出すことに優れていても、それを説明することができなければ、価値は半減ーそれ以下になってしまうこともある。かといって政治家のように雄弁なら良いというわけでもない。もどかしい創造の世界と、ある一人の写真家を等身大で語る努力をした著者の努力に思いを馳せつつ読んだ。2017/10/02
気が向いたらかじかじ
7
完璧な人間はいない。誰かが誰かの何かが足りていない、とか指摘するのはナンセンス。ただ当事者が不便や不都合を感じるか。ことの大小は当人しかわからない。障がいを特別視することはないのだと思っていても人間は自身でより高みに臨もうとする。それは苦しみを感じて生きてきた人はなおいっそうであろう。ただただこの人の写真が好きだ!しっかり聞いて・見て・話して・味わって・・でないと生きた意味がないじゃん!2011/01/05