内容説明
時は明治。琉球の下級士族の家に生まれた富名腰義珍は、生来の病弱を克服するために門外不出の秘伝であった唐手を学びはじめる。ひたすら同じ型を練り続ける日々の中で義珍の心身は強靱になり、修行にのめり込んでいく。そして時は移り、教育者となった義珍は、唐手を青少年の育成に役立て、古伝の精神を本土に普及させることを決意する。琉球秘伝の「唐手」を極め、本土に「空手」を伝えた男の生涯。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Dai(ダイ)
23
ここ数年、読んだ本はほぼ全て売るなりして処分している。手元に残して置きたい本は100冊に1冊あるかどうかである。この本はその中で残して置きたいと思えるものである。空手に興味のない人には全くつまらない物かも知れないが、空手をやったことがある、若しくはやっている人は読むべきである。本物の(本来の)唐手を習いたくなった。2014/08/11
活字スキー
21
秘伝の「ウチナーの宝」とされた唐手を、ヤマトの空手としての普及に尽力した富名腰(船越)義珍の生涯は今こそもっと評価されるべきにつき再読。伝統唐手を尊重し、その継承普及と大衆化から生じる弊害の板挟みに懊悩する物語は『虎の道 龍の門』の麻生英治郎パートの元ネタといって良いだろう。自身も空手塾を主宰する著者にとって、伝統唐手に対する思い入れは生半可なものではない。おおよその流れは覚えていたが、派手な対決シーンはほとんど無く、基本の型を繰り返し鍛練するような深い味わいと熱量を感じられる再読だった。 2020/03/09
一笑
18
琉球唐手を「空手」として全国に普及させた富名腰義珍の生涯を描いた作品。「空手に先手なし」では普及しなかった空手に、やがて型だけでなく組み手が取り入られるようになる。それは琉球空手本来の姿が形骸化していくことにも繋がった。普及すれば普及するほどそれは顕著になっていく。どちらをとればいいいのか難しい問題です。スポーツとしての空手と武道としての空手、分けて考えるしかないのかも? それにしても今野さん。自ら道場を開くだけあって熱の入れようが半端ない。型にこんなに大きな意味があるとは全く知らなかった。奥さんも凄い。2026/03/14
ひろ☆
18
こちらは、本部朝基とは真逆の空手家、沖縄空手・富名腰義珍の生涯。若い時から私闘、ケンカを全くしない!自分の強さを追求する本部、空手を世に広めようとする富名腰を小乗、大乗に例えたのにはなるほど。空手がスポーツ競技、富名腰が考える空手の意味合いと違っていく流れは寂しいものだね。2015/02/17
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11
船越義珍は本土に空手を普及させるが、本来の空手とは違うものが根付き始め葛藤する。空手の先生と言えば豪放磊落なイメージがあるけど船越義珍は繊細な人物で、また奥さんが素晴らしい方。また登場人物がカッコいい。今野さんは本来の空手を突き進んで下さい。面白かった。2017/08/14
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