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内容説明
スキタイ人・メディア人・ペルシア人・バクトリア人・パルティア人……史上最初の騎馬民族にして壮大なる世界帝国の樹立者。ユーラシア大陸を舞台に興亡を繰り返す諸民族の足跡を、「アーリア性」をキーワードに気鋭のイラン学者がたどる。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
67
アーリア人と聞くとまず連想させられるのがインドに侵入した民族とかナチスのアレであるが、本書がテーマとしているのは主に西アジアから中央アジアにかけてのアーリア人の動向。そのため天に続くような草原といった中央アジアの風景や古代から連綿と続く王朝の勃興といったイメージは湧くのだけど、基本馴染みのない単語が頻発するので読むのに苦労する。地図は有るけど電書だとこれまた見にくいし。それでもアーリア人を軸とした中央アジア通史として読めば楽しめたかな。キンメリアや大月氏、ステップや遊牧民といった単語に惹かれる方向けかも。2025/02/09
俊
35
簡単に纏めると、アーリア人とは中央アジアで生活していたインド・ヨーロッパ語族の中のヨーロッパに移動しなかった集団である。そしてその残った集団でインド亜大陸に向かった一団をインド系アーリア人、イラン高原に向かった一団をイラン系アーリア人と呼ぶ。本書はこのイラン系アーリア人の歴史と文化を主眼に置きながら、広範な「アーリア人」の全体像をも描き出している。文章が簡潔で分かり易いだけじゃなく、丁度いい塩梅にユーモアが散りばめてあって読んでいて飽きない。欠点は見開きの地図くらい。内容の詰まった凄く面白い本だった。 2014/11/14
スズコ(梵我一如、一なる生命)
14
インド系アーリア人を知りたくて手に取る。有名人の松岡正剛さんが勧めるなんてどんなものかと思ったのもあり。開いてすぐ、これはイラン系アーリア人の本と書かれていて、ぷーっ(卒倒)となりつつ、歴史の教科書に数行しか書かれていないサカ族とかパルティアとかペルシア帝国とか掘り下げて知ることができる楽しい本でした。最初は溢れ出る作者の個性が鼻についたけど、途中から苦労してるなと親しみが湧く。わかりやすい工夫はされているけど、やっぱり簡単ではなく途中から読みながら意識はスライドしたので、再読して身につけたい。2024/02/05
ジュンジュン
8
アジアとヨーロッパの間、特にイスラーム以前は完全にエアポケットに入っている。受験勉強でとても苦しんだ事を思い出した。空間的にも時間的にも広大な地域の興亡を、イラン系アーリア人と位置づけ、時系列ではなく列伝風に綴る。少しでも分かりやすいようにと、紀伝体にするところに著者の心遣いが見えてうれしい。おかげで、馴染みのない民族も繰り返し言及されるので理解を助けてくれる…はずなのだが、読み終わるとやっぱりエアポケットに逆戻りした(涙)。2019/10/21
六点
8
ヒトラーのお陰で随分胡散臭いイメージが付いた「アーリア人」の長い歴史と広い展開を描いていた。えてして門外漢には難しいものになりがちであるが、「露鵬がアーリア人の末裔であるオセット人」だとか「毘沙門天信仰を支那に持ち込んだのはアーリア人の一派ホータン王国」と言うトリビアを散りばめたことによって楽しく読めた。しかし、「文字を持たなかった民族を研究する研究者の悲劇」って、日本史の学者からみたら想像もできない世界やも知れぬ。2017/10/07