内容説明
「ブログの女と、星空と」「イッショニ、クラシテクダサイ」見知らぬ外国の女に突然声をかけられた独身中年男は、断りきれずに家に連れて帰るが… 。「みんなのサンセット」往年のハワイアンバンドが数十年ぶりに結成。亡くなったメンバーの代わりに、新しく加わった青年のとまどい。「日記で逢いましょう」娘が押入れから見つけてくれた古い日記。この中にどれだけの忘れてしまった自分の人生があるだろう。「しもやけの唄を聞いたころ」演歌歌手から「情念の手紙」のメッセンジャーを頼まれた少年。吹雪の中、遭難しかけたが、町の嫌われ者の画家に救われて…。「言い忘れてさようなら」中世ブームに乗って、東ヨーロッパへ取材に訪れたトラベルライター。そこで暮らす日本人女性との不思議な体験。「珠洲と写真館」晴れ着姿の成人式を、素直に喜べない20歳の女性。写真館に向かう途中、川に流される鹿に遭遇する。可笑しくて切なくて、ちょっぴり心にしみる、6つのささやかなラブ・ストーリー。※巻末ページのリンク先にはジャンプ出来ませんのでご了承下さい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ
41
それまで互いの存在すら知らずに、ずっと別々の道を辿って来て、交差した場所ではじめて挨拶をして、歩きながら少し話して、同じところで笑って泣いて、同じものを食べて飲んで、ひとつの傘で肩を寄せて、手を繋いだり小指を結んで、いくつか季節を一緒に越えて、寒い時にはあたためあって、もう少しで桜が咲くころ、答えのない問いに戸惑って、何度も二人で考えたけれど、また別の道を行くことになって、言い忘れたことがたくさん残った。「さようなら」は言ってない。けれど言い忘れた言葉じゃない。あなたも同じ月を見て、きっと笑っているから。2017/03/27
林 一歩
2
登場人物全てに著者の顔が浮かび上がるのが難点ですけど(笑)、氏の掌編はどれも面白い。2012/04/25
タカラ~ム
1
イッセー尾形の舞台の世界観を思わせるような作品が6編収められた短編集。読んでいて、随所にイッセー尾形が登場人物の役を演じている場面を想像してしまう。外国人の女に振り回される中年男やドサ回りの女性歌手から預かった手紙をダメしてしまった少年にとんでもない提案をして掻き回す自称画家の男など、まんまイッセー尾形の一人芝居で演じられそうな感じである。2011/02/25
山崎ジョー吉@waii
0
イッセー尾形さんがこんな小説を書いていたとはビックリ。繊細なタッチがとても心地よい。でも、短編集の中には面白いものもあれば、退屈なものも。サッと読める一冊。2012/08/18
アスタラビスタ
0
登場人物の人間味や情が伝わってくる。ノスタルジックな切なさを帯びたやさしい物語。心の動きの描写に、著者の繊細さを感じる。2010/02/26
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