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内容説明
考える自我から出発したデカルトに始まり、カント、シェリング、ヘーゲル、ショーペンハウアーにいたる西洋の近代哲学。本書はその遺産の上に立ちながらも、哲学そのものがキリスト教の伝統にいかに制約されているか、独断論に終始しているかを示し、新しい哲学の営みの道を拓く試みである。アフォリズムで書かれたニーチェの思考の記録を、音楽のように響き、肉声が聞こえるような新訳で!
目次
第1篇 哲学の先入観について
第2篇 自由な精神
第3篇 宗教的なもの
第4篇 箴言と間奏曲
第5篇 道徳の博物学のために
第6篇 われら学者たち
第7篇 わたしたちの徳
第8篇 民族と祖国
第9篇 高貴なものとは
高き峰々より―結びの歌
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaichiro
101
名著『ツァラトゥストラはかく語りき』後に書かれた、より深く思索したニーチェの爪痕。 バリバリのアフォリズム。格言好きの日本人にはそのリズムが馴染むのかもしれないが、前後の文脈がないものが多く殆ど脳に刻み込まれずに読了。この類は理解を諦め絵を眺める様に目を流す。ところどころピカピカ光る言葉がこちらに向かってくる。その感覚で小難しいおじさんと何となく会話できた気持ちに。頭の悪さを露呈するが、それでもいいのかなぁと。一方、宗教と哲学に親しみ、アウトプットすることに憧れる私は年末年始に出口治昭氏の大著に挑む覚悟。2019/12/25
かわうそ
31
ニーチェというのは最初から自己矛盾を孕んでいる。なぜかといえばニーチェは真理というものは存在しないという真理を主張しているのであって結局は真理があることを認めざるを得ない点である。真理がないと断定することと力への意志というのは両立し得ない。というのも人というのは最終的な理想や真理がなければ活動的になることはないからである。ニーチェというのはそのような脆弱性の上に成り立っている2022/07/27
かわうそ
28
ニーチェ自身も決して高貴な魂を持っている者ではないことは確かだ。柄谷行人氏も「倫理21」で言っているがニーチェは明らかに奴隷側の人間である。そこにニーチェの面白さがある。もしも、ニーチェが高貴な魂というものを内包していたならば、決してニーチェの哲学というものは生まれなかっただろう。ニーチェ自身が奴隷であるが故の作品である。さて、面白いのが奴隷は恐怖を自らに引き起こすものを悪とみなす点である。たしかに、昨今のホラーSFの流行もこの奴隷道徳が生み出したものであるのかもしれない。2022/07/29
かわうそ
27
ニーチェは一般的にニヒリズムの思想とされるがそれは誤解をうむことは間違いない。というのもニーチェの思想はその通りに解釈すればたしかにニヒリズムに陥るのだが、ニーチェ自身はニヒリズムを主張しているわけでは無いからだ。今を強く生きることを主張しているのであり、そこに虚無主義を見ることは本末転倒のような気がしてならない。今を強く生きる、現在を精神で支配することこれがニーチェの思想であってその主張をするためにキリスト教やソクラテスの追求した真理というものを否定したすぎない。ニーチェから出たニヒリズムは錆にすぎない2022/07/22
vinlandmbit
23
いずれまた、落ち着いて読み返したい。2022/11/28