出版社内容情報
親指が蛇になった母親、臨終の折になって魔にたぶらかされる女……人は執着心とどう向き合うべきか? 中世の人気作家・鴨長明の仏教説話は800年の時を経てなお人々の生き方に示唆を与える。総ふりがなつきの原文、現代語訳、丁寧な解説とともに名作をダイジェストで学ぶ。
【目次】
一の一話 玄賓僧都が遁世逐電したこと
一の二話 同じく玄賓僧都が、伊賀の国の郡司に使われなさった時のこと
一の五話 多武峯の増賀上人が世を遁れ往生したこと
一の七話 小田原の教懐上人が水瓶を打ち砕いたこと 付けたり陽範阿闍梨が梅の木を切ったこと
一の一一話 高野山のほとりの上人が妻を迎えたこと
一の一二話 美作守顕能の家にやって来た僧のこと
二の五話 仙命上人のこと ならびに覚尊上人のこと
二の八話 真浄房がしばらく天狗になったこと ほか
内容説明
『方丈記』などの著作で人気作家となった鴨長明は、続く作品として仏教説話集『発心集』を著した。必ずしも文献に依拠せず、また日本の話題のみに絞るという編集方針は、説話文学・仏法の語り方として異彩を放つ。ここに描かれるのは、嫉妬や欲望に心をかき乱される人々の姿。叱責や哀れみだけではなく、長明が登場人物に寄せる共感や同情も必読。総ふりがなつきの原文・現代語訳、ていねいな解説とともに古典をたどる入門書。
目次
「玄賓僧都が遁世逐電したこと」
「同じく玄賓僧都が、伊賀の国の郡司に使われなさった時のこと」
「多武峯の増賀上人が世を遁れ往生したこと」
「小田原の教懐上人が水瓶を打ち砕いたこと 付けたり陽範阿闍梨が梅の木を切ったこと」
「高野山のほとりの上人が妻を迎えたこと」
「美作守顕能の家にやって来た僧のこと」
「仙命上人のこと ならびに覚尊上人のこと」
「貧しい男が設計図を描くのを好んだこと」
「讃岐の国の源大夫がにわかに発心し往生したこと」
「書写山の客僧が断食往生したこと このような行法を謗るべきではないこと」
「蓮花城が入水したこと」
「ある女房が臨終に魔がたぶらかす様を見たこと」
「ある人が臨終にものを言えず恨みを残したこと」
「真浄房がしばらく天狗になったこと」
「宝日上人が和歌を詠じて修行にしたこと」
「郁芳門院〓子の家人が武蔵野に住んだこと」
「西行の娘が出家したこと」
「母が娘を妬み、手の指が蛇になったこと」
「少納言統理が遁世したこと」
「賢人右府が白髪を見付けたこと」
「三井寺の僧が、貧苦の報いを夢に見たこと」
「盲人が関東に下向したこと」
「比叡山から下りてきた僧が、河合社の前で気絶したこと」
著者等紹介
鴨長明[カモノチョウメイ]
(1155頃‐1216)平安末から鎌倉時代の文人。下鴨神社の正禰宜惣官の名家に生まれる。和歌と琵琶の名手。日野の外山に方丈の庵を結んで隠棲。法号は蓮胤
伊東玉美[イトウタマミ]
1961年、神奈川県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。白百合女子大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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