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内容説明
闘うことでしか生きられない者たちに勝敗を決する秋が来た。楊家の男の証である「吹毛剣」を手に戦う六郎に、父楊業の魂が乗り移る。その剣に打たれたとき、遼国の名将・石幻果の記憶がにわかに蘇る。遼国に忽然と現われたこの男は、かつて宋遼戦で落馬し、記憶を失い、遼国に連れ去られた北平寨の将だった。過去を取り戻した石幻果は二つの人生を抱えてしまった運命を呪い、苦悩する。そんな石幻果に今を生きることを決意させたのは、父とも慕う耶律休哥である。一方、戦場で石幻果と出逢った六郎も、石幻果に既視感を覚える。不安を抱きつつ石幻果に近づく六郎。予感は的中した。運命に弄ばれる男たちの哀しみを描く慟哭の終章。綾なす人々の憎悪と哀しみが交錯する衝撃の結末。乱世の終わりを彩る壮絶な物語が、今静かに幕を降ろす。『水滸伝』に登場する青面獣楊志、楊令が佩く宝刀との奇しき因縁も明らかになる「北方楊家将」完結編。解説は森福都氏。
1 ~ 1件/全1件
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
351
一気読み。そうか、やはり楊家軍の末路はそうなるか…。その侘しさもすごいものがあるが、やはりこの物語の主人公は耶律休哥と石幻果になるだとう。四朗を討ち、誰の追随も許さぬまま、死に様まで圧巻の耶律休哥には痺れる。そして石幻果の息子としての目線。どう見てもこの二人が別格扱い。対して楊家側は六郎、というより吹毛剣の孤軍奮闘。最期の戦から、急に宋側の人間の思惑がきな臭くなり、一気に楊家が滅びに転じるが、この辺りの裏幕はもっと描いて欲しかったところ。それとも、水滸伝に続いていくと考えればこれくらいが丁度いいのか。2019/02/27
いこ
91
「楊家将」から二年後、宋と遼の領地をめぐる争いは未だ続いている。そんな中、記憶が戻った石幻果は自死しようとまで思い悩んでいた。石幻果が父と慕う耶律休哥は、命を懸け石幻果自身を取り戻す。二人の、本物の親子よりも強い結びつきには、胸を打たれる。「楊家将」では、一択で楊家軍推しだったが、本作では耶律休哥軍が魅力的に描かれている。特に耶律休哥の戦場での最期の姿には胸に迫るものがあった。また、ラストの石幻果と楊家兄弟姉妹との命がけのぶつかり合いは、涙なしには読んでいられなかった。まさに涙だらけの下巻であった。2020/08/07
ehirano1
77
これは素晴らしい!ハードボイルド作家に歴史小説を書かせるとここまで凄くなるのか、という印象を受けました。圧巻圧倒によりページを捲る手が止まりません、そして電車は当然乗り過ごす(苦笑)。この余韻はしばらく引きそうにありません。お勧めです。2017/05/13
Kircheis
59
★★★★☆ 下巻でもやはり石幻果の存在感はピカイチ。 でも本当の主役は吸毛剣だったりする。 最後は切なく、モヤモヤとした気持ちが残る。2018/01/07
ちくわ
58
上巻に続きスピンオフ的に話が進むが、隻腕の五郎延徳が渋い。後半から宋と遼の決戦へ進むのだが、妙にアッサリと耶律休哥や延光が消えた後、乾坤一擲の壮大な奇襲戦が始まる。両国の駒となり戦う楊家の人間達…血を分けた兄弟である九妹、七郎を討ち取った四郎(石幻果)も終には六郎に…『血涙』の題意が腑に落ちた。前作『楊家将』と比べ個性的なキャラが多く、誰に焦点を定めて良いか?モヤモヤする展開もあったが、ラストの疾走感は前作に引けを取らなかった。トイレを忘れるくらい没入&血が滾った自分は、読後に涙とお小水が止まらなかった。2025/07/31
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