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内容説明
犬の血を4分の1引いて、北米の原野に生まれた狼「ホワイト・ファング(白い牙)」。親や兄弟が次々と死んでいく“自然”のなかで、強く、狡く生きていく。だが、あるとき人間に飼われることになり、人間の残虐さや愛情に触れることで、心のなかにさまざまな葛藤が生まれるのだった。野性の血を研ぎ澄ます孤独な灰色狼の目を通して人間と文明社会を描いた、ジャック・ロンドンの代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaichiro
98
厳冬の荒野を北から南に下る狼、ホワイトファング。野生に育つが、その中に流れる犬の血が人間との距離を縮める。 狼ながら、飢えや寒さから守ってくれる人間を神として崇め、自分に何ができるかを悩み、様々な境遇に身をおく。真に人間からの愛求めるホワイトファングの喪失感に近い絶望の深さと、厳しい寒さを、硬質な文章が綴る。人間同士でも”出自”の違いによって、自分が所属したいと思うコミュニティに完全に受け入れられず、ただそこに居させてもらえるだけで幸せだからと、全人生を捧げる価値観もある。古くからある、難しいテーマだ。 2019/09/22
どんぐり
89
犬の血が4分の1混じった狼「ホワイト・ファング(白い牙)」が野生から飼い犬へと馴化していく物語。北の荒野に生まれ、仔狼時代には雷鳥や、イタチ、オオヤマネコと闘い、同族の若犬と争い、サヴァイヴしていく。やがて自らの意志で人間に身をゆだね、飼い主からは食べ物、暖かい火、保護をもらう代わりに、ご主人様のために働き、財産を護り、身体を警護し、服従する。はじめはインディアンの賢い橇犬から、次に白人の闘狼へ、そして裕福な家の飼い犬へと人間界を渡り歩き、成長(?)していく。→2022/10/07
えりか
55
「野生の呼び声」が飼い犬から野生の狼へと変化する物語であったのに対し、こちらは野生の狼が飼い犬へと適応していく物語。「野生の呼び声」は、次第に力強くかっこ良く孤高の存在になったバック、こちらは次第に「愛」と「忠誠」を学び、心安らぐ生活を得たホワイトファング。個人的には物語性や高揚感、かっこよさから前者の方が好きだが、こちらは自然の脅威だけでなく、人間社会「文明」の残酷さや、規律のやっかいさが面白く描かれていると思う。野生からの文明化、それは私達人間こそが学んでいかなければならないこと。2016/09/04
蘭奢待
50
2010年読了。狼の血を濃く引いたホワイトファングがこの世に生を受け、荒野の中で、または人間との間で艱難辛苦を経験し、やがて良き白人に助け出され人間社会の中に飼い馴らされて行く。短編作品をつなぎあわせたような作品で、ホワイトファングの心の描写や、事件など大変緻密に描いてあり楽しめる。 ジャック・ロンドンの大ファンだが、作品が少ないのが悲しい。2019/10/05
ちろたろう
32
久々の翻訳本、意外と犬好きには面白かった。2017/10/05
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