講談社文庫<br> 火のみち(下)

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講談社文庫
火のみち(下)

  • 著者名:乃南アサ【著】
  • 価格 ¥764(本体¥695)
  • 講談社(2013/11発売)
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  • ISBN:9784062761567

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内容説明

兄妹を名乗れない陶芸家と女優。幻の汝窯(じょよう)との出会いは運命なのか。妹は女優として成長し、刑期を終えた次郎も独立して窯を開く。暗い過去ゆえに兄妹を名乗れないながらも家族の絆が深まる中、次郎は中国宋代の青磁・汝窯に魅入られる。「雨上がりの空の色」と称される幻の器を自らの手で蘇らせたいという激情はどこへ向かうのか。戦後昭和という時代を描ききった意欲的長編。(講談社文庫)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みっちゃん

58
陶芸家として名を成しつつある中、次郎が初めて出会った、肉親以外に愛するもの。それは人間ではなかった。900年も前の中国の青磁。その再現に傾けた、まさに命がけの熱情が、周りの者を不幸にし、彼自身をも孤独にし、追い詰めてゆく。しかもその行為は「要するに偽物なわけですよね」の一言に集約されてしまう虚しさ。結局、彼の人生は何だったのでしょう。その問いに対する答を私は出せませんでした。2013/10/13

52
すさまじかった。青磁に魅せられ、自らの手で再現しようと研究にのめり込む次郎。次第に周りのことが目に入らなくなり、家族ですら信用できなくなっていく。寝ても覚めても考えるのは青磁のことばかり。狂気じみた次郎のギラギラした目が迫ってくるようでした。それにしても兄に恩があるとはいえ、どんな時でも兄を支え続けた続けた君子がすごい。兄妹の絆ってこんなにも固いものなのか2015/11/04

wanichan

42
中国の幻の青磁の魅力にとりつかれた次郎は、自分の思いを理解してくれない家族から孤立していく。そんな兄を理解しようと支援する妹。兄の生き方が、計算されて配置された焼き物や薪のくべ方でも、開けてみないとどのように出来上がっているかが分からない火のみちその物のように思えた。全力で兄を支える妹からも燃えるようなきれいな火を感じた。2016/10/13

James Hayashi

39
下巻に入り、ようやく何故著者が君子を女優に仕立てたか見えてくる。が、登場人物の嫌な面ばかり目につく作品。もっと作陶に集中した方が真髄が見えてくるように思えるが、女優業、恋愛、ファイナンスなど余分な面が多過ぎ、本質が濁ってしまっている。結末も幸不幸のどっち付かずで不満が残る。期待し過ぎた面もあるが。2018/04/18

いくら

27
下巻は次郎が中国宋代の青磁・汝窯に魅せられその再現に全身全霊を傾ける。文字通り脇目もふらずといった様子にあれ程堅いと思えたきょうだいの絆も一体なんだったのだろうかと、虚しさを覚えた。もっともそんな自分はあくまでも君子に感情移入していたからだろう。2013/11/24

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