内容説明
父が戦死し、戦後満州から引き揚げてきたどん底の生活の中で母まで亡くした南部次郎は、わずかな葬式費用の形に幼い妹を連れ去ろうとする男を撲殺してしまう。きょうだいは離散し服役中も渦巻く憤怒を抑える術すら知らない次郎は備前焼と出会い、ひたすら土を練ることで、ようやく心が鎮まっていく――。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
58
貧しい暮らしの中で、妹を救う為に人を殺めた次郎。刑務所を出た後、その事実をひた隠しにしながら、陶芸の道を極める兄と、したたかに生きながら、女優として成功した妹、君子。背負ったものの重さの為、本当に信じられるのはお互いだけ、周囲の人々に心を開く事のできない兄妹が哀しい。そして何かの拍子にスイッチが入ってしまうと、自らの激情を押さえきれなくなる次郎の姿は夜叉のようで恐ろしかった。戦後、昭和の時代の流れも描きながら、この兄妹の人生はどうなるのか?下巻に進みます。2013/10/09
も
49
満州から引き揚げ、どん底の暮らしをしていた次郎。母を病気で亡くし、わずかな葬儀費用のために妹を売れと言い寄ってきた男を撲殺してしまう。投げやりな刑務所暮らしのなかで、陶芸と出合い、のめり込んでいく物語。10年の刑期のなかで、何度も時が過ぎていることを思い知らされ、気持ちが変化していく次郎。その度にぐいぐいと物語に引き込まれていくようでした。これから次郎はどんな運命を辿るのか。下巻へ続く。2015/11/03
wanichan
42
戦後、売られそうになる妹を守る為に犯罪者になった次郎。刑務所で出会った陶芸で心が穏やかになっていく。児童養護施設から面会に行く妹の二人の目線で描かれている。罪を償うということ、犯罪者の家族ということや読みごたえのあるストーリー。下巻が楽しみです。2016/10/09
James Hayashi
35
人を殺めるが、陶芸家の道を歩みだす南部次郎。妹は芸能界で成功していく。昭和という時代の中で兄妹愛を描くのか、2人のプロフェッショナルな生き様を描いていくのかはまだ読み取れない。少し男女関係の描写が多すぎるとの思いも強いが、読みやすさはすぐれている。下巻は如何に。2018/04/17
aax74370
33
★★★☆☆ 戦後~昭和40年代 という古い時代設定があまり好きではないですが、十字架を背負って生き抜いていく兄妹という設定は、結構好きです。下巻で、どんな展開が待ち受けているのか?下巻次第で、評価が決まりそうです。 2014/03/28
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