内容説明
「〈臨床瑣談〉とは、臨床経験で味わったちょっとした物語というほどの意味である。今のところ、主に精神科以外のことを書こうとしている」本書は、精神科医としての長年の経験をとおして、専門非専門にかかわりなく、日本の医学や病院やその周辺について「これだけは伝えておきたい」という姿勢で書かれている。多方向からの視線ではあるが、病名を告知された患者側ができる有効なことは何かに主眼がある。「現代は容赦なく病名を告知する時代である。告知の時代には、告知しただけの医師の覚悟も必要であり、また、告知された患者も茫然たる傍観者ではなく、積極的に何かを行ないたいだろう。患者もその家族、知己も、いつまでも手をつくねてドアの外で待つだけの存在では済むまい」院内感染を防ぐには患者側はどうすればよいか。脳梗塞の昏睡患者を前にして家族にできることとは。さらにガンを持つ人の日々の過ごし方について、「丸山ワクチン」について――。その実用的な助言は、現代医療批判でもあり、自然回復力の大切さと有限性も視野に入れながら、医学の可能性と限界をくっきりと映しだしている。
目次
1 虹の色と精神疾患分類のこと
2 院内感染に対する患者自衛策試案
3 昏睡からのサルヴェージ作業の試み
4 ガンを持つ友人知人への私的助言
5 SSM、通称丸山ワクチンについての私見
6 軽症ウイルス性脳炎について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あこ
10
なかなか面白かった。読んでいてこちらも興味がわいてくる。その症状を問診、観察することはできても、そこから、気づけるかどうかは大きい。誠実さ、知恵、直感がポイントであると先生は教えてくださっている気がした。2014/07/26
メルセ・ひすい
3
こん睡患者の足の裏をくすぐる・・・・・ ガンを持つ人の日々の過ごし方、昏睡患者を前にした家族ができること、院内感染に対する患者側の自衛策、「丸山ワクチン」…。精神科医である著者が長年の経験をとおして実用的な助言を行う。2008/11/15
qualia
3
借りて読んだ日を忘れた。昏睡患者へのアプローチについて書かれた章を読んでみたかったのだが、再読して期待を裏切らない内容だった。クモ膜下で倒れた祖母のお見舞いをする支えに成ってくれている。2009/12/02
おおの
3
医師としての勘にすぐれ、委ねられる先生だと思います。丸山ワクチンの話題については知りませんでしたが、この方が「見た範囲でQOLを下げることはなかった」と書いておられるのならウソではなかろうと思いました。2009/05/29
のりたま
2
『臨床瑣談続』も読んだはずなのだが手元にない。虹の色の見え方が文化によって違うことをとりあげ、診断という境界線を引くことについて語る。院内感染についての章は現在でも切実。川端式手洗い法がお勧め。床上30センチまでは空気が汚く80センチより上はグッと少なくなるらしい。見えない傷をつけないためにタオルは柔らかいものを。脳梗塞の舅に付き添った話。昏睡状態でも聴覚は残っていて会話が聞こえ、瞬きによる通信が可能なこと。丸山ワクチンに関する章はかなり長いが、けっきょく効くのかどうかはよくわからなかった。2020/09/18
-
- 電子書籍
- まいまいまいごえん 4 角川コミックス…
-
- 電子書籍
- 松下幸之助(学習漫画 世界の伝記NEX…