内容説明
1945年、焼け野原の東京。敗戦で2人取り残された美人姉妹の有希子と久美子。食べるため、家を守るために彼女たちが選んだのは、自分の家を進駐軍の慰安所にし、肉体を武器に、失ったものをアメリカ人から奪い返すこと! 特攻帰りの男との恋に生きる姉、アメリカ兵と手痛い初体験をし、うら若い娼婦となる妹、姉妹の家に転がり込んだ秋田美人の祥子、銀座の「夜の女」だったお春。優雅なあばずれ女たちの破天荒な“戦後”をあざやかに描く会心作。伊藤整文学賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
61
この題材を女性作家が真正面から書いたら、どうなっていたかという(下世話じゃない)興味はある。2018/05/07
shizuka
61
なんだかんだあって、自宅を米兵の慰安所にすることになった姉妹。そこにいるのは先輩女郎のお春と姉妹の父親と懇ろになりながらも、慰安施設に売り飛ばされた祥子の計4人。湿っぽくなりがちな話、だけど全然湿っぽくない!寧ろ爽やか。「日本は占領されたけど、米兵の心を占領してやるんです」の心意気。かっこいいね。全てのパンパンがそうだったとは思わないけど、こうやってなにくそ〜と生き抜いた女性がいてもおかしくない、そう感じさせるこの視点。またひとつ賢くなりました。で、エピローグ。惑わされたのは私だけじゃない、と信じたい。2016/09/27
も
61
戦後間もなく父の逮捕によりたったふたり残された姉妹。生きるために選んだ道は、自宅を慰安所にすることだった。慎重で一途な姉、有希子と好奇心旺盛な妹、久美子。対照的な姉妹だけれど、いつでもしっかり繋がっている。急に語り手が変わったり、文体が変わったり、不思議な作りではあったけど、最後までハラハラしながら読めました。2016/08/13
こばまり
53
激動の時代の様々な苦悩が描かれているはずなのに、あまりにもサクサクトントン読めてしまい不気味な読後感。明治から大正に掛けての小説の人物描写に似ている。一方で「開局◯周年記念特番」と冠した地上波の大型ドラマも彷彿とさせる。狙ってのことか。2022/08/01
ふみ
40
肉体の門を思いつつ←読んでないけど。なんて 血肉の通わない話なんだ!? 軽く酩酊して読了しましたが、ここには生きている人間が一人もいない。にも関わらず なんなの?この世の空気感は? 作者のロマンチストぶりと政治的立ち位置が気になる。2015/02/21