内容説明
淫乱に生きるしかない詩文。平凡に生きるしかない満希子。仕事に生きるしかないネリ。平凡に生きるはずだった美波。かつて私立女子校で同級生だった四人はそれぞれ別の人生を歩んでいたが、美波が四十一歳で事故死したことから、運命が絡みあう。残された三人の胸に愚かしくも残酷な「あの頃」が蘇り、それぞれの「嘘」が暴き立てられていく――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りゅう☆
109
美波が事故で死んだ。満希子は女子高時代の友人で医師のネリ、そして美波と一緒に死んだ河野の元妻詩文と連絡を取る。そして蘇る彼女ら4人の高校時代の出来事。当時美波の恋人河野の心身を奪った詩文は今でも淫乱ってことに嫌気がさす。美人だった満希子は普通のおばさんになり、河野をいつまでも忘れられず彼に似た男と結婚するほど執着する美波に恐怖すら感じたけど、仕事一筋クールなネリが英児に溺れそうになるも引き際がカッコイイ。女のドロドロありで好きなストーリーではないけど、彼女らの嘘の背景がきちんと描かれてるのはスッキリ。2018/12/29
mr.lupin
57
高校時代の四人の同級生の物語。人それぞれ色んな事情がありそして絡み合う。登場人物が少ないわりに、誰が誰だかわかんなくなってしまって、ちょっと無理があったのかな、そんな読後感です。女性の怖さ、垣間見ました。☆★★★★2016/01/29
M
53
まぁ、昼ドラの脚本のような。退屈な始まりでしたが、いつしか詩文という女に着目して読んでいました。ひとりの人間の人格形成の根幹のようなものを勝手に感じて無理矢理楽しみました。彼女にとって人の恋人を奪うことや性行為等の刹那的破壊的衝動は「生きている実感」「哀しみからの逃避」…若いときにはそんな魔性が儚く映えても、いざ四十路を越えたときに友人への羨みとともに詩文自身が痛感するのは、若年時代の地道こそがのちに華開くという、もはや取り戻せずもう持ち得ないもの。それでも、生きる限り精一杯進むしかない…。2016/04/24
エドワード
32
女子高校の同級生、コケティッシュな詩文、ガリ勉のネリ、優等生の満希子と腰巾着の美波、皆41歳の2003年。一番影の薄かった美波がニューヨークで恋人と事故死する劇的な場面から一気に1980年へ。見合結婚した満希子と美波のつぶやき「逃げっぱなしで生きている今より、あの頃の方がずっとよかった」「子供の頃には到底越えられないと思ったハードルを、四十代になるとこんなにも簡単に越えられるのか」はじめ、名セリフの大連発、電話の場面のハラハラ感など、彼女たちと同学年の私には実感溢れまくりです。ドラマも印象的でした。2015/08/17
ちゃんみー
29
女性は子どもの時から女性なんだ。ドロドロした感じは男には無い世界でした。2019/05/28