内容説明
幕末の長州で高杉晋作ら維新の英傑は「たとえわが身は死んでも志は生きる」と信じ、天皇に忠節を尽くし湊川に散った楠木正成を理想として祀った。正成と共に戦没者の霊が祀られ、やがて招魂場ができ、靖国神社誕生へとつながる。先人をしのぶ人々の純粋な思いは、つねに政治に都合よく利用され、危険な「誇り」へと変容してゆく――。日本人の忠誠心をコントロールする「靖国思想」の原点を探る。
目次
第1部 幕末にふくらんだ正成像(楠木正成の墓碑建立;正成になろうとして松陰;長州藩師の中の楠木正成;吉田松陰を祭り上げる;楠公祭から招魂祭へ;正成崇拝あれこれ;靖国神社創建と諸問題)
第2部 道真・信玄・赤穂浪士の系譜(道真を崇拝した晋作と望東;武田信玄と幕末長州;幕末に使われた赤穂浪士物語)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amabiko
1
幕末における楠正成顕彰、靖国神社の前史に位置付けられる長州での招魂祭の歴史など、知らないことが多くとても勉強になった。エピソードも多く引かれていて各章は読みやすいのだが、欲を言えばそれら各章を貫く「まとめ」的な章が最後にあった方がより理解が深められたかな。その意味では第2部はコラム程度で済ませてよかったのかも。2017/03/21
Gen Kato
1
吉田松陰や高杉晋作の精神的基盤となった楠木正成信仰と、長州藩を中心とした招魂社→靖国神社への流れが理解できる。政治的思惑で祀られぬひとびとの御霊など、暗澹とした気分にさせられる。2015/01/02
YM
0
靖國神社ができる前に、こんな話があったのかと目から鱗が落ちまくり。結局、薩長らの維新勝者のための施設であって、敗者にとっては苦渋飲まされ続けるのものでしかないと思った。2014/04/22
でん
0
「君臣湊川」恐ろしく使い勝手のいい言葉だと思いますよ。2013/11/15
眞柴
0
さすが、高杉のことを書いているところは文章が活き活きしてました^^2011/11/01
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