内容説明
大西洋から北まわりで太平洋に抜ける北西航路。その最後の部分を発見すべく、1845年5月、探検隊長のサー・ジョン・フランクリン率いる二隻の英国艦“エレバス”と“テラー”は出航した。だが、当初は順調だったものの、翌年9月には北米大陸の北で両艦は氷に閉ざされ、身動きできなくなってしまう。想像を絶する寒さの中、生き延びる道を探るフランクリンたちの前にやがて巨大な白い怪物が現われ、激烈な闘いが始まる。/掲出の書影は底本のものです
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
32
19世紀中頃、英国の北西航路発見を目指した探検隊の全滅史(上巻)です。実際の総員125名遭難事故を題材にしているが、探検行はシモンズの創作となっています。北緯70度近辺で行く手をはばまれ、にっちもさっちもいかなくなった探検隊一行。数年にわたる遭難に見舞われてしまいます。超がつく酷寒の中、尽きていく食料・燃料、蔓延する壊血病。まるで近くで見てきたかのようなリアルな残酷さです。イヌイットの謎の女性の登場に、異界の怪物が船員たちと蹂躙するという伝奇ホラーでもあります。徐々に斃れていく隊員たち。下巻に続きます。2018/06/27
鐵太郎
23
19世紀、ヨーロッパから西回りでアジアへ向かう新たな第三のルート、北極海を通る北西航路の開拓のために三年の航海に旅立ったフランクリン探検隊(史実)の顛末を、人々の葛藤から謎の魔物まで交えて描いたもの。謎だらけの史実をうまく味付けしてつなぎ合わせ、ホラー風味をふりかけた、と言えばいいのかな。レディ・サイレンスと名付けられた謎のエスキモー女とはなんだったのか。若く頼りないアーヴィング海尉、役立たずな若造のドクター・グッドサーなどが、徐々に意外な才を発揮していく様子が、ちょっと救いになります。2008/06/19
maja
16
英国海軍公式北極海調査のための北西航路探策隊の資料が基にされている。1845年5月に出航したまま消息を絶ったエバレス、テラーの2隻の艦。その後の捜索で両艦の乗務員を合わせた以上の犠牲者を出したそうだ。謎となってしまったフランクリン探検隊。全乗務員の詳しい資料の存在により消えてしまった隊員たちがかつて確かに存在したということに想像を掻き立てられる。2019/05/18
羊山羊
10
未知の北極航路上で動けなくなった英国艦の面々と謎の化物と自然の猛威との激闘を群像劇スタイルで書くジェットコースターな自然冒険パニックモノ。まだ1800年代の話とはいえ、壊血病と災害で人がバッタバタ倒れる中、化物が花を添えてくる上巻からしてスーパー絶体絶命仕様。これ何人生き残れるんだ…。掴みはバッチリ。不安を覚えながら下巻へ。2019/02/03
roxy001960
9
最初はなんだかわからないが、段々怖くなってくる。怪物も恐ろしいけど、北極圏の寒さの描写の方がずーっと怖い。不十分な装備と知識では生き抜くことはできない環境ですね。エスキモーの人たちってすごい、と改めて感心した。2016/05/20
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