内容説明
修平の両親が番人として雇われた別荘には秘密の地下室があった。別荘の主、布施金次郎と両親たちとの密約の存在を知った17歳の修平は、軽井沢にたちこめる霧のなかで狂気への傾斜を深めていく。15年の沈黙を破って彼が語り始めたひと夏の出来事とは? 人間の心の奥に潜む「魔」を描ききった傑作長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜長月🌙@読書会10周年
56
軽井沢の別荘で起こった出来事を回想するという構成をとっています。主人公たち一家は別荘番と言っても召使いのようなひどい扱いを受けています。別荘のご主人と自分の姉も母も深い仲となってしまっています。その見返りはお金です。生きていく上で何をより大事にするのか。生きがいでしょうか。愛情、健康、友人、財産・・・。それぞれの登場人物が大きなものを失いながら何かを得ようとしています。本当にそれを得るために犠牲にしてよかったのでしょうか。2023/11/08
ミーコ
45
久しぶりの宮本輝さん。タイトルからは想像出来ない鬱々としたストーリーでした。軽井沢の別荘で起こる様々な出来事。。。先が気になり一気読みしましたが、読み終わっても重い気分になりました。今度は希望の見える本を読みたくなりました。2019/03/20
巨峰
44
とても陰鬱な小説。昼ドラになりかねない題材だけどその手前で踏みとどまっている。誰が罪を犯し誰が裁かれるべきなのか。宮本輝さんの小説は何故か近親相姦の影を感じるものが多い気がする。そういうところは実は作者が自分のために書いているんじゃないかと思いました。2015/07/15
クリママ
39
すべてを放棄して一気に読んだ(たまにする)。秘密が知りたかった。それはあまりに異常だった。生々しさはあるけれど、「泥の河」のようにありふれた日常の一つづつを生き生きと切り取ってほしかった。確かに霧はよく出る。でも、なんか違う。別荘番とか庭番とかが、なんだか淫靡な言葉になってしまった。2018/06/07
スケキヨ
28
『猫』がつくタイトルに魅かれて手に取りました。軽井沢の美しい自然のもとで人間たちが営むドロドロとした日常。心の中に誰にも見せられない暗い影を生み、育ってしまうのは人間の何なのか、を抉るようにしかしどこか爽やかとも感じるように書かれた小説でした。“ひとことで、人は自分の中の無数の風を厚く暴れさせたり、ここちよくそよがせたりするのである”“至極当然な生き物の法則を、人間は人間の営みに関してその浅瀬の部分でしか当てはめてみる事が出来ないのだ”など一瞬の心のゆらぎの表現に、読後しばらくは物思いに耽ってしまいます。2012/12/17
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