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内容説明
ゴミを荒らして困る、カアーカアーとうるさい、いきなり頭を攻撃された…カラスと人とのトラブルは耐えない。カラスと共存する道を探らなければ、人間も不幸だし、カラスも不幸である。想定外のことが起こると腹が立つ。何でこうなるのと思う。カラスの迷惑とはそんなものである。だから、まずカラスのことを知ってみよう。「カラスの常識」に則って行動しているカラスの立場に立ってみよう。山ではクマの知識が必要なように、現代ではカラスの知識が必要なのだ。カラスの立場に立って考える-それが、じつはカラスのみならず人が暮らしやすい社会をつくっていくのではないか。
目次
第1章 誤解だらけのカラス
第2章 カラスという生きもの(カラスは黒とはかぎらない 美食家カラスの食生活 ほか)
第3章 カラスの知恵(カラスの頭のよさ 道具を使うカラスを見に行く)
第4章 カラスが東京を愛する理由(「コンクリート・ジャングル」で生きる カラスのアーバンライフ)
第5章 カラスと暮らす(カラスと人の知恵比べ カラスと暮らす賢い方法)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うめ
21
カラスが愛おしくなる。人にもカラスにも都合があって、それぞれの住みやすさ、は異なる。それは、種が異なるから当たり前のこと。それを踏まえた上で共存していくのが大事。好き嫌いで存在を左右するのは傲慢だ。好き嫌いはあって当然、嫌いなものを無理に好きに捻じ曲げなくてもいい。だけれども、嫌いなものの存在も、是、とするのが、この地球に共に生きている命同士の最低限のマナーだと思う。2016/10/27
まっ黒大魔王
9
今から10年前に書かれた本なので情報はやや古いが、それでもカラスの生態、習性、カラス側の視点に立って、カラスのゴミ荒らし問題等に言及。やはり原因はゴミを無造作にポイ捨てする人間側にある。それをあろうことか害鳥として殺害するのだからもうこれだから人間というやつは。2016/09/04
けんとまん1007
6
「常識」とは一体?ということも考えさせられます。カラスの目からみた時、一体何が見えるのか?この視点を持てるかどうかがポイントだ。2010/03/21
やす
5
カラスが数々の神話に包まれていて、古代は神の先導役で今はサッカージャージのシンボルにもなり、頭がよく、嫌がらせをした人間の顔を覚えていていつまでも付け狙うなどなど。本書によると確かにカラスは頭がよいが攻撃範囲はなわばりの中だけだし、正面からは襲ってこない。後頭部に手を置くだけで襲ってくることはなくなるという。面白いのはカラスに正面を向いてなわばりを侵害しているとツガイで喧嘩を始めるとのこと。「あんたが行け」「いやお前が行け」と喧嘩になるのか?世の中には道具を使うカラスまでいる。細長い棒を作って虫を取るとか2015/02/08
すがの
4
カラスの目線に立ちながら、カラスの常識を紹介し、人間たちによる誤解を解いていく著作。非常に面白い。そして、本領は、第5章の「カラスと暮らす」。現実的な見地からカラスへの「対策」を考えながら、人間の驕りを炙り出し、また、行政への提言を行う著者の「熱」を感じる。もっと読まれるべき本。2015/06/07