内容説明
僧侶でもある作家と、がんを体験したエッセイストが、般若心経、不動智神妙録、ユング心理学、量子論や心と体、生老病死について、一年間にわたり自在に思いを綴り合った往復書簡集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっちも
3
宗久氏の手紙の文章が美しい。季節の描写はありありと頭に現れてうっとりとした。岸本さんという人は理知的で哲学に深い知識があり、ガンに冒された過去がある。治療時に西洋流の因果津の考えでは救われないというか上手くいかなかったようで禅に興味をもったよう。なぜという問いに答えがあるとは限らないし、それを因果で解き明かしたところで救われるとは限らない。禅の知恵や考え方が岸本さんの因果で捉えようとする思考と対比になりその奥行や効能がわかりやすかった。終盤では禅の境地、ありえない武芸の達人などの真相がわかり引き込まれた2016/05/19
Hiroshi Osumi
0
この言葉が気に入った。 「どんな状態になっても、安らかでいられますように」 禅を体験したい。2015/08/10
あゆみた
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とりあえず往復書簡というと手に取らずに入られない。手紙大好きなのです。闘病経験から具体的な死を強く意識した経験のある岸本さんのいのちにまつわる様々な思いや疑問に答えて、玄侑さんが岸本さんをいざない“わたし”を越えた“いのち”へと近づいて行く。感性の研ぎ澄まされた理知的な岸本さんはしっかり玄侑さんに導かれ、深いところに向かってゆかれるんだけど、私は途中でついていけなくなってしまった(泣)随所に驚きを伴うような発見があって、もう少し理解してみたいなー。知性感性とも磨き直しての再読が必要なようです…。2010/11/14
okatake
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岸本さんと玄侑さんとの約一年にわたる往復書簡集。いのち、人生をテーマに、理知的な岸本さんが座禅や瞑想、暗唱を通じて自分という殻を解放していく日々を二人の言葉でのやりとりで綴られています。 仏教や武道など、日本の歴史のなかで先人が大切に育んできてくれたものには、情報化され、経済にがんじがらめされて生きている私たちにとって忘れされたもの、必要とされているものがあるようです。ただ、現代社会に毒された私たちにとってはなかなかその中に入っていくには努力が必要なようです。葉子さんの奮闘が物語っています。2018/04/06