内容説明
風雲急を告げる憲法改正。斯界をリードする憲法学者と政治学者が、9条、集団的自衛権、日米安保、人権など主要争点を徹底的に議論した。「憲法は国家という法人の定款である」「護憲派も改憲派も条文にこだわりすぎ」「絶対平和主義は立憲主義に反する」「アメリカもフランスも押しつけ憲法」「憲法解釈は芸である」などなど。目からウロコの発言を読めば、あなたも憲法改正に一家言を持つ専門家に。
目次
第1章 憲法はデモクラシーを信じていない
第2章 絶対平和主義は立憲主義と相いれない
第3章 憲法解釈はだれのものか
第4章 絶対的な権利なんてない
第5章 あらゆる憲法は「押しつけ憲法」である
第6章 憲法をいま変えることは無意味である
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
11
名著「デモクラシーの論じ方」の憲法版。リベラルなリアリスト、長谷部恭男に杉田敦が現代思想、政治学の立場から根幹に関わる質問を次々浴びせ、長谷部がそれに応える異種格闘技戦的な本で、新書ながらかなりレベルが高い。立憲主義の基本からその解釈学的側面にとどまらず、全ての憲法は押しつけだとか、ふつうの憲法本ではお目にかかれない過激な表現が飛び交っていて刺激的。憲法学と政治学、現代思想の交錯する最先端が見えるいい本だ。ただし、分かりやすいが全くの素人には前提が多くて使いにくいかも2012/06/29
加藤久和
6
対談形式であるということ、またこの本の書名から入門書と誤解される恐れがありそうだが憲法あるいは長谷部憲法の初心者がいきなり読むことは避けた方がよいと思う。政治学者の杉田氏が聞き役となり、政治学の論点を憲法学に果敢にぶつけることにより生じる有益な化学反応を意図したのかもしれないが、新書レベルとしては難解であり中上級者向け。次々と繰り出される論点に幻惑されて何が憲法の本質なのかが私にはつかめなかった。押しつけ憲法論について、当時の日本政府にとって押し付けられたのに過ぎないのでは?との長谷部氏の指摘は重要だ。2013/05/06
たか
4
良書ですが対談形式だから好みが分かれるところ2018/06/29
オランジーナ@
2
難しかった。2023/09/30
ぽん教授(非実在系)
2
専門分野的には杉田先生の方が近いため、「自分だったらこう攻めるんだけどな~」「なかなか鋭いけど、そこで追撃を止めちゃいかんだろ」などと脳内でツッコミをしていた。長谷部先生はのらりくらりと攻撃を躱しているが、こう攻められたからこう応答したという感じをする場面もいくつかあり、昨今の彼の本音と整合性があるのだろうか?という気もした。とはいえ、戦後生まれの東大法学部卒二人(それぞれ芦部、佐々木門下)の議論としてかなり際どいところまで扱っており客観的には十分に面白いものであろう。2019/04/09