岩波文庫<br> 戦争と平和 〈6〉

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岩波文庫
戦争と平和 〈6〉

  • ISBN:9784003261866

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内容説明

1812年冬の戦争とは何か.追撃するパルチザン,敗走するナポレオン.解放軍突入の朝,紅顔の少年兵が一発の銃弾に斃れた.ペーチャの姿がフランス軍捕虜ピエールの目に焼きつく.耳には老兵プラトンへの止めの銃声と犬の唸り声が──死者の河を渡り,いま還るべき平和とは何か?巨大な問いを後世に残して,全六巻完結!新訳.

目次

目  次

 第 四 部(続き)
  第 三 篇
  コラム36 パルチザン
  第 四 篇

 エピローグ
  第 一 篇
  コラム37 神聖同盟
  コラム38 デカブリスト
  第 二 篇
    〈付録〉『戦争と平和』という本について数言
   『戦争と平和』Q&A
   アルバム トルストイの生涯
   『戦争と平和』年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

141
終盤はもう物語というか、トルストイの哲学。あまりにも凡庸な人生の後半。しかし、人は常に青春時代で胸をときめかせて暮らしていくことができるわけはなく、どっしりと生活の礎を築くことが必要なのだ。農民兵プラトンとの会話からピエールが学んだことは、ナターシャとの落ち着いた生活に帰結する。華々しくあろうとすれば、様々なものを失う。平和な時代ならば財産を、戦時下であれば命まで。モスクワが焼き尽くされてからのロシアの民の底力のみせ方は圧巻だ。彼らは斧を手に容赦なく立ち上がる。パルチザンにナポレオンは敗北したのだろう。2016/06/30

ベイス

62
ついに読了。エピローグは、物語を離れて「歴史を形作るもの」の洞察にあてられており、小説を読み終えたというよりは評論のそれに近い。心揺さぶられるシーンがいくつもありつつ、やはりこれは小説を超えた何かだ。筆が熱くなるのは、歴史の考察部分である。もしかしたらそれは、彼が小説を書く最初の動機が内的発露ではなく、うまくいかない己の人生を見つめ直すためだった、という点に負うのかもしれない。彼の実像は、芸術家というより、散々彼自身がやりこめている「歴史家」に近いのでは?だからこそ「トルストイ主義」も生まれたのでは?2022/12/20

翔亀

52
昨年亡くなった日本古典を語る文人で仏文学者の杉本秀太郎さん(84)は、死ぬ前にこの「戦争と平和」を読んでいたという(「みすず」2016.2)。人生の終焉の時に読み返すにふさわしいと思う。人間が作ってきた筈の歴史の悲惨さ(本書では戦争)の中でいかに個人が無力なのか、自分では自由だと思っていても全てが歴史の法則に束縛されている、という歴史哲学に貫かれているにも拘らず、生きるということの意味を追求しながら懸命に生きた人間たちへの愛に溢れている。私は、ピエールをアンドレイをナターシャをマリアを一生忘れないだろう。2016/02/14

ころこ

47
エピローグ第2篇では、今までの歴史家が示してきた①少数の者が歴史を動かしている。②歴史は目的論である。という歴史のテーゼに対して作者の長い叙述がなされています。そもそも本作に登場人物が多いことは、少数の人間による力学でないことの最初からの作者の応答だといえます。後半になると、スピノザやカントをはじめとした自由意志と因果による必然のアンチノミーという哲学の問題を考察します。作者の迂遠な議論を補うと、因果の全体を引きでみると必然だが、人間の生命力はその瞬間、瞬間は我々に意識されるので自由だという主張になります2022/04/16

ヘラジカ

41
他の多くの名作と同様、一読でこの作品を評価するのはおこがましいだろう。発するもの全てを受け取れたとは言い難いし、この感慨に、長大な作品を読み切った達成感が与える影響がないとも言えない。しかし、読書体験自体はこれまでで最高級のものであったことは断言できる。激動の時代を生き延びた登場人物たちの行く末が、卑俗で平凡な幸福に帰着することに大きな安堵と感動を覚えた。何年か経ったらもう一度、他の訳で読み直してみようと思う。初読で見出した(と思いこんでいる)核心とは別のものが見つかるかもしれない。2015/09/10

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