内容説明
福沢礼一は退屈だった。世界には流言飛語が溢れてる。曰く「現世は神の怒りにより、間もなく滅びる」。曰く「手足をボキボキに折る関節ババアがいる」。などなど。でも、現実に福沢の周りには何も起こりはしない。山崎椎菜は問う。「フク、そろそろ死ねば?」「言葉って暴力だよね」。ただひたすらに駄弁るだけの5人の男女。彼らの中で周囲で暴走する、通常で異常なミステリー・シンキングタイム。青春は時として軽やかに迷走する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ymartak
16
とある小都市の大学演劇サークルに集う大学生・OG・高校生の五人組の日常や掛け合いを楽しむ物語…と思いきや徐々に各人の別の顔が露わになり…という内容。人の暗い側面を覗き込みつつも、それをも含めた世界そのものを肯定するという「され竜」にも通じるモチーフ。クセはあるものの、ハマってしまうと非常に楽しめる作品。2015/01/30
hit4papa
13
おしゃべりサークルに集う若者たちを描いた青春小説。お気楽能天気なものと思いきやさにあらず。読み進めると登場人物らの裏側に隠された鬱勃とした感情が見えてきます。くだらない会話の応酬に辟易しますが、サークルを離れた時の彼らとの落差に気持ちがささくれだちます。深淵な(というか理解不能)討論あり、ド迫力の活劇あり、心の闇を抉るシーンあり。いやいや詰め込みました。ストーリーがあるようでないような。著者とがきをには「スナック感覚で書いた」とあるので、深く考えないで読むべきなんでしょうね。2015/08/30
彩灯尋
10
ライトにエグい。なんだこれは。ただひたすら駄弁るだけの5人の男女…間違ってはいないけども。表紙を見たときの印象と読み終わったときの印象は180度違うものになっているが、それが不快なものではなく気づいたらワールドに惹き込まれているから不思議。これが軽めと言われてるの?他のも気になってきた。面白かった。2022/12/24
ひのえ
5
可愛い女の子が出てくる萌え小説を、(浅井ラボが)現実にできるだけ近づけた作品。そこに関節ババアや援助交際、完全犯罪、人形遊びといろいろ詰め込んだ結果がこれ。夜中の熱いストリートファイトに、終わりのない劇、女の子同士の美しい純愛。いろいろな要素が絡み合っていて大変面白かった。一番笑ったのは作中作の「ロリの空」。2014/10/04
椎名
5
青春群像劇でいいのだろうか。終わりかたとしては非常に爽やかで、前向きなものになっているため打ち消され気味だが、かなりエグい作品である。現実で想像できてしまう程度だったのが余計に。どこにも行けず、何にもなれず、退屈凌ぎのようなただ続いているだけのつまらない日常と、どう折り合いをつけるか。どれだけ多角的にものを見れるか。閉塞感はあれど鬱屈とはしていなかったのは、やはりフクちゃんのおかげかな。個人的には女子高生組、特に真央が好きでした。あの妄執、凄まじいまでの愛の告白、文句なしに素晴らしかったです。2013/07/27