内容説明
20世紀は昭和の時代であった。戦後に刻印された我々の記憶は本当に正しい20世紀像を結んでいるのであろうか。昭和史研究の第一人者である著者が、昭和の戦争、エポックメイキングな事件を再検証し、昭和という時代と昭和を生きた日本人の実像を、独自の視点から読み解く。
目次
1 昭和史のキーワード(昭和天皇;統帥権;国家総動員法;元老・重臣政治 ほか)
2 戦争観なき平和論(近代日本の愚かな選択と自省;戦争観なき平和論―真珠湾攻撃から六〇年;「二十世紀の昭和史」への訣別;松本清張『昭和史発掘』を再検証する ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
21
統帥権の暴走の解説からインドネシア独立戦争に関わった日本人の存在まで。副題にある戦争観なき平和論が一番危うい。平和憲法と唱えて日本の安全を守れるわけでは全然なく、あくまで当事者である人間が戦争の実態を理解した上で判断行動していくことが求められる。もちろん戦争を経験していない世代には戦争とは何かを量ることは難しく、著者は昭和の戦争を振り返ることによって少しでも戦争への道はどのように開かれていったのか理解してもらいたいと願っている。2018/11/11
ななっち
1
保坂先生の本の中で、ご自身の昭和史観が色濃く出ていた本であると思います。戦前、戦中を批判的に評価するとともに、戦後の思想のあり方についても、極めて批判的に論証をしておられる。日本人ひとりひとりの姿勢についてを問いただしています。2012/12/29
AnmitsuK (うろ覚えムーミン)
0
戦争をやるにも、反戦平和を唱えるにも、そこには確固たる「戦争観」が伴わねばならない。でなければ、ただ醜態をさらすのみ。2014/02/08