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内容説明
日本は神国である。―誰もが耳にしたことのあるこの言説。しかし、われわれは、「神国日本」がいったい何を意味するのか、本当に知っているのだろうか?その展開を実証的にたどってみると意外な事実が見えてくる。たとえば、「ナショナリズム」を高揚させるイデオロギーと思われがちなこの思想も、中世においては、必ずしも、他国に対する日本の優越を説くものではなかったのだ。その他、天皇・仏教的世界観など、さまざまな観点より、古代から中世、そして近世・近代に至る神国言説を読み解く。一千年の精神史。
目次
序章 神国思想・再考への道
第1章 変動する神々の世界
第2章 神と仏との交渉
第3章 神国思想の成立と変容
第4章 神国思想の歴史的意義
第5章 疎外される天皇
終章 神国の行方
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mazda
12
今回はきちんと読めず時間切れ…。再読しようと思います。2016/09/20
樋口佳之
9
神国思想は決して固定化された理念ではない。それは歴史の状況に応じて、自在に姿を変えてきた。/神国にも、天皇制にも歴史があって、古代中世近世近代とその内実は変化してきたって内容。知らないことばかりだから興味深く読んだけど、神国思想が普遍性を内包していた時代もあったんだよって話をどう受けとめるかで意見が異なる本でしょう。2017/04/18
おらひらお
5
2006年初版。一般的に言われている元寇以降に神国思想が興隆するのではなく、仏教の土着化の過程で生み出されたものとする見解を示されています。神道関係はまったく疎いので、付箋だらけになってしまいました。2013/11/03
depo
3
著者独自の「神国」論が呈示されていて面白かったが、その前に「神」の定義をすべきではなかったのだろうか。日本の神は八百万の神々といわれるように、キリスト教のGODとは異なるものだし、著者の考える神とはいかなるものなのだろうか。2021/02/10
がんぞ
2
森総理の「日本は天皇を中心とする神の国」発言は、神道関係者の会合でもあり、天皇が民主主義に反した絶対的存在(の子孫)と曲解するのは、戦前の日本人への侮辱でさえあると思うが、国体を論じるのに「大日本者神國也」神皇正統記が再読されるのは必須だろう/古代の大王オオキミが、天武帝の時代に「天皇」という尊称を得て権威を強化したが/中世には、土地支配(おもに水利関係)認定の一機関となり、帝は権力者の意向によって(皇族のうちから)取り替えることも可能となった/国家安穏が天皇個人の身体や地位ではなく、支配体制全体と転換2022/02/27