講談社文芸文庫<br> ソロモンの歌 一本の木

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講談社文芸文庫
ソロモンの歌 一本の木

  • 著者名:吉田秀和【著】
  • 価格 ¥1,463(本体¥1,330)
  • 講談社(2014/03発売)
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  • ISBN:9784061984332

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内容説明

戦後日本の音楽批評をリードしてきた吉田秀和は、青春期に吉田一穂に私淑、中原中也との交遊や小林秀雄の影響を通してポエジーの精髄に触れた。音楽はもとより、文学や美術を論じた著作によって、豊饒なる批評精神を構築してきた著者が、幼児期から詩との出会いまでを綴り、その批評の原点を明かす表題作をはじめ珠玉の随想12篇を収録。巻末の荷風論は、日本近代の宿命を巡る鋭い洞察に満ちた文明論である。

目次

中原中也のこと
小林秀雄
吉田一穂のこと
ソロモンの歌
私の「音楽学校」
音楽とわが青春
『ラインの乙女たちの歌』
一本の木
クレーの跡
失われし時をめぐって
チェーホフと現実
荷風を読んで

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ケニオミ

10
日経夕刊でバイオリニストの庄司紗矢香嬢が紹介していた一冊です。「さまざまな芸術との出会いによって人生が深まっていくさまがわかる。」という一文に惹かれて読み始めましたが、言っていることがよく分からず、3分の2を過ぎたあたりでギブアップ宣言をしました。人生も終盤を迎え、これから「人生が深まっていくさま」を分かっても仕方がないという神からのお告げと解釈しました。2018/01/08

うた

8
音楽を言葉に置き直す吉田さんの思考の過程にすこしだけ寄り添うことができる本。ラインの乙女たちの歌や失われし時をめぐって、文学や絵画をぐるりと廻って、音楽に戻ってくる。2019/05/18

広瀬研究会

6
明治以降、日本人の生活には根差さない外来の思想、それも17世紀以降のあらゆるものが、ほとんど同時に雑然と輸入された。ということを考察する『荷風を読んで』が印象に残った。確かに現代でも、欧米発の政治や哲学、芸術を十分そしゃくできていないような気がするし、吉田さんの文章でもクラシックのことより相撲の話の方がすんなり頭に染み込んできますしね。(単に芸術とスポーツの違いかもしれませんが)2022/04/09

よみこ

3
読み終えると著者と音楽とのかかわりの原風景を思い描くことができる。西洋文明の受容、日本人にとっての音楽の価値など、このエッセイが書かれてから五十年近くたつ今日なお、同じようなことが問われていることに驚く。表題作『一本の木』を読み、自分ならどんな木を描くだろうかと考えた。やはり私も心の目ではなく、実際の目で見て上手く描こうとするのだろう。でも上手い下手のみにこだわるのでなく、心の目で見、心の耳で聴いて表現することが芸術活動の真髄なのだろう。そうできる人が芸術家なのだろう。そのことがストンと腑に落ちた。2017/08/30

koala-n

1
クラシック音楽の評論で有名な著者の、比較的短いエッセイを集めた本。文学や絵画のことを書いていても、気が付くと話が音楽のことになっていたりして、著者が心底音楽が好きなことが伝わってくる。良くも悪くもいわゆる「批評」と呼ばれる文章なので、連想のように話が流れて行って、ともするとテーマがなんだったかわからなくなることも。「実証的」とか「論理的」とか、そういったことを気にする人には少々読みにくいかもしれない。個人的には「一本の木」というエッセイが、芸術が生まれる刹那を一瞬だが確かに描き出していて気に入った。2013/03/30

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