内容説明
「戸村の声がかすれて、低くなる。『永倉、おまえ、やめるか?』身体が震えた。ずっと考えていたことだった……」強豪校・横手との練習試合で敗れた巧。キャッチャーとして球を捕り切れなかった豪は、部活でも巧を避け続ける。同じ頃、中途半端に終わった試合の再開申し入れのため、横手の門脇と瑞垣が新田に現れるが!? 3歳の巧を描いた短編「空を仰いで」収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
181
キレモノ瑞垣登場。葛藤真っ最中の巧と豪を引っ掻き回す(ついでに当方も引っ掻き回されています)姿は一見悪者に見えますが、実は最高のメンターであることが垣間見えます。そして、本書からは巧と豪の物語だけではなく海音寺、門脇、そして瑞垣の物語も始まったような予感がして、次巻が待ちきれません!2020/07/19
ALATA
116
川土手の空き地で始まる強豪、横手との対外試合。門脇との真剣勝負に腕がしなる。伏兵に足元をすくわれ、豪との関係もギクシャク、どうする巧?といったところ。それにしても、これ、中学生の会話?大人顔負けの心理戦には児童文学としてはちょっと難しいかなぁ。お調子者の吉貞くんが中坊らしくて良かった★3※“洋三さん,巧を守ってやってくださいよ“文庫書下ろしの「空を仰いで」。聖名子ばあちゃんの言葉にジーンときた。2024/01/18
再び読書
109
豪の立ち直りの巻。タイトル通り巧と豪でバッテリーであるが、今まで巧に割かれる内容の方が多かった。特に豪腕・自己中・不器用な巧、に対して包容力のある・人に温かい・辛抱強い豪との対比が大かったが、とうとうやはり思春期の豪も不安に押しつぶされそうになる。でも大方の予想通り再び元の鞘に納まる。その他の門脇や瑞垣の横手の選手たちも絡み、物語はまた大きく動き出す一休みの巻に感じた。2012/12/10
ehirano1
96
『チームのために、誰かのために、野球をしようとは思わなかった。“何かのために”をつけてしまったら、野球は野球でなくなる』。巧のもはや哲学とも言えるものです。しかしね、野球は9人居ないとできないし、相手も居て初めて成立するんですよ。巧、お前が言ってるのは野球じゃなくて単なる「ボール投げ」だよ、とも言ってやりたくなります。2025/08/30
優希
90
心が痛みます。試合でキャッチャーの役目を十分にこなせなかった豪。それがきっかけとなり、自分の野球と巧とのバッテリーについて悩む姿が刺さりました。自分のやり場のない想いに巧を避けてしまうのも辛かったです。でも、本当は難しいことを考えずに野球に打ち込めればいいのでしょうけれども。2018/09/18




