内容説明
東北の小さな町の寺に勤める僧・浄念は、躁鬱に苦しみつつ薬と酒の力を借りて法要をこなす毎日。不惑間近となったいま、学生時代にのめり込んだバンドへの情熱が心を占める。やっと実現にこぎつけたライブのステージで、強烈な恍惚感とともに降りてきた啓示の正体は……。精神を病みロックに没入する僧が、祝祭の只中で感じた歓喜と安らぎ、心のひそやかな成長を描く芥川賞受賞第一作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
27
自殺未遂という過去があり、躁うつ病と分裂病を抱える禅僧である主人公。周りと異なる感覚を抑えるがために薬を服用し、違和感を抱えながら過ごす日々。そんな彼が、もう一度、音楽を始めようとする。人と繋がるためではない。世界と繋がるために。自分自身と繋がるために。彼と彼の周りのもろくて壊れやすい人たち、生活を、彼の主観を大切にしながら描いた小説です。言葉を誰よりも大切に考えすぎてしまう。そんな彼の思考が興味深い。2010/12/05
はらぺこ
25
読むのがしんどかった。ページ数は少ないけど読み終えるのに時間がかかった。2018/02/05
えっくん
21
★★☆☆☆躁鬱の症状に悩む僧侶がバンドを結成しライブを開催する…。この作品は映画化もされているそうですが、ライブのステージで恍惚状態になっている僧侶とそれを訝しながら冷静に見ている彼の妻の姿には笑えるものがありました。ただ僧侶の心の動きが目まぐるしく、気持ちがいろんな方向へ飛んでしまって、彼の言動はほとんど理解できませんでした。もっともそれが躁鬱の症状なのだから、それを描いた著者はすごいことなんでしょうが…。著者も住職ですが、お坊さんが欝になることもあるんでしょうか。 2015/05/21
YO)))
12
「ロックで六道輪廻を突き抜けろ!」と,ロッキンオンみたいな惹句が帯に書いてあるが,どちらかというと,アラフォーロック禅僧の浄念氏が,鬱と躁と統合失調の合間を彷徨う,その精神の経巡りこそが本題だろう.僕が敬愛して止まないルー・リードの,しかも個人的に屈指の名盤だと思っている「セット・ザ・トワイライト・リーリング」について言及されているだけでも読んだ甲斐があった.サックス入りの編成の浄念氏のバンドの音は,吉野大作&プロスティチュートみたいな感じを想像したが,作者の頭に流れていた音を伺ってみたいものだ.2013/01/27
ψ根無し草
6
ロックと仏道のブッ飛んだノリノリの話を期流れ待していた訳ではなかったが、躁鬱の僧侶の頭の中をぐるぐると巡るような展開に読んでいるこちらの気分も揺さぶられた。多少読み手は選ぶが、古きよき純文学の雰囲気が好きな方や60~70年代の音楽やアーティストが好きなら楽しめると思う。2015/03/21
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