内容説明
米倉涼子主演ドラマの原作。執拗なまでに民子を追い続ける久恒は、高速路面公団理事の自殺、総裁人事の黒幕が鬼頭であることを確信する。鬼頭の過去には謎と闇が多く、複雑な刑事事件にも関わっていた。鬼頭は民子の若さを吸収しながら、病床から政財界を巧みに操り続け、民子も久恒もその渦に巻き込まれてゆく。〈けものみち〉に踏み入ったものたちの悪と情痴のドラマのなかに、日本の権力機構の裏面を抉る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
香取奈保佐
94
人倫から外れた「けものみち」を歩む男女。読者は奥へ、奥へと誘われるように読み進め、やがて社会のとんでもない深みにまで足を踏み入れていることに気づかされる。ともに歩んでいたと思っていた者が急に寝返る。別の誰かが不意に襲いかかってきたと思えば、突然消えていく。彼らは互いを喰い合うようにして進んでいく。野蛮で醜悪で、それでいて高度に知的な食物連鎖。最後に残った男も、やがて誰かに食われてしまう。誰かが消えても「次の誰か」が残り、道だけは残されていく。これだけ話を広げたのに、上手にまとめているのには感心した。2015/09/06
NAO
76
戦時中の軍との癒着から、政財界の黒幕にまでのし上がった男がいる。その一方で、民子や久恒は、あまり裕福でもなく生活にあくせくし、ちょっとした出世を夢見ている。さらには、過去の権力者にうまく取り入って、のし上がっていこうとする小滝のような野心家もいる。結局、小滝のような冷徹さがない民子や久恒は、権力に振り回され、敗北するしかないということか。戦後日本の権力構造を垣間見た者たちの運命の変転が描かれているのだが、民子視点でしか鬼頭が見えてこず、そのすごさがあまり伝わってこなかった。2019/05/14
タックン
57
戦後の政財界を裏から操るフィクサー・鬼頭。そこに女中と仕えた民子とに痴情の物語。民子の(けものみち)の運命は? 最後はどさくさ紛れに終わって消化不良!!民子はどうなった?子滝は何者?2022/07/04
ともくん
55
モヤモヤとした終わり方。 これまでの伏線が、きちんと回収できていない感じ。 いかにも、昭和サスペンス的。2021/03/30
金吾
53
○古く感じる部分はあり、登場人物も魅力に欠けますが、読み始めたら止まらない話でした。全編を通じ、清張さんの戦後日本の権力に対するシビアな視線を感じます。ラストは一気にいきすぎだろうという勢いでした。2022/05/20




