内容説明
口もきかず、動きまわることもなく、朝から晩まで同じ場所にじっとしている植物。悩んだり、喜んだり、日々忙しく生きている人間から見ると、植物という生き物はなんともつまらなく退屈に思えてしまうかもしれない。しかし、身近にいながら謎の多い植物の生き方をつぶさに見ていくと、そこには驚くべき神秘と不思議な生態が隠されている。本書は、植物学が明らかにしてきた植物の実像を物語ふうにまとめたサイエンス読み物である。悲喜こもごもに生きる植物たちのまっすぐな生き方に共感するかもしれない。あるいは自らの生き方を問い直すことになるかもしれない。いずれにせよ、植物という、いつもわれわれの身近にあるなんでもない生き物が、これからは愛おしくて仕方なくなることは間違いないだろう。中学生以上から興味を持って読んでいただける良質の科学読み物です。
目次
天然成分でお肌すべすべ
怪獣出現SOS
アリがいるからアリガタイ。
走りたいとは思いません
共生も楽じゃない
トロイの木馬で侵入せよ
それでも芽が出ない
うなるターホでぶっとばせ
どこまでも上りゆけ
お客様は神様です
この花、あなたに贈ります
花粉と雌しべのラブゲーム
玉手箱を開けたら
濡れ落ち葉の哀歌
冬の時代に勝ち残れ
ブルマンでリフレッシュ
愛の教えは時を越えて
植物は環境の破壊者だった
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
流之助
24
植物学と聞くと堅いイメージがあるが、これは植物を主人公とした冒険小説のように描かれているので楽しく読むことが出来た。Kindle Unlimited本。多種多様な植物たちの生き残り戦略を面白おかしくユーモアを混じえ、時には顧みて人間の戦略はどうか。生き方はどうなのか、そういう問題提起もあって考える一助となる。著者の他の本も読んでみたい。 2020/02/07
ちくわ
15
読書メーターでお知り合いのnakaさんの感想を見て購入。 私見だが、動物と植物の根幹的な違いは移動の可否。動物は適した環境へ即応移動が可能だが、自ら動けない植物は環境に適応せざる得ない。適応不能=絶滅だ。故に植物は限られた組成元素を駆使し、突然変異×自然淘汰の中で驚くべき器官や物質を獲得し、周囲をも利用しつつ生き延びてきた。そこには感情など無いはずだが、人間目線で見れば個性豊かで壮大な物語だ。 読了後、著者=稲垣栄洋さんだと知る。どうりで既視感が!彼の著書からは、どれも植物への愛がビンビンに伝わってくる。2024/06/04
myung
10
我々の身近にある植物。それらは何かを語るわけでも、また人間の速度感覚で動いているわけでもない、静かな生物に見える。しかしその内部では人間以上に、熾烈な争いや自己防衛作用が働いている。この本を最初に発見した時、よくある雑学本だと思っていたのだが、その実はきちんと生物学の立場から、植物の生き方に迫っているものだった。そのような内容でも全く堅苦しくならないのは、著者が巧みに比喩を交えて解説しているからだろうと思う。2016/07/04
naka
8
植物の面白い性質が紹介されている本です。特に虫や微生物との関係の話が多く、時には敵同士として食べたり、食べられないように毒を作って対抗したりする関係がある一方で、共生関係によりお互いに必要とする栄養を交換したり、花粉を運んだり、敵から守ってもらったりするような話があります。一見win-winな関係に見えてもシビアな計算が働いているとはいえ、利他的とも取れるようなやり取りが数億年前から続いているというのが興味深いです。2023/12/13
バニラ風味
8
アリストテレスは「植物は、逆立ちした人間だ」という大胆な発言をしたそうです。考えてみれば、姿形、生き方は違っても、生命体という点では、同じですね。そして、後々まで生命を繋いでいきたいと、生きていることも。植物や虫たちと話はできなくても、その生態を科学的に分析し、それを人間にあてはめて比べてみる、というユニークな内容です。小さくても、一生懸命生きているものたちに目を向けてみると、意外な発見があったりして、見習わなくてはと思ったり、したたかだなあ、と思ったり。植物好きの方にはおすすめです。2014/01/20
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