内容説明
残酷で、皮肉で、冷徹で、透明な、ロアルド・ダールの短篇世界。一度味わえば、その味わいは二度と忘れられないものとなる。「女主人」「誕生と破局」「ウィリアムとメアリイ」など、忘れ得ぬ11篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
37
ダールのブラックユーモアは最高だと感じさせる短篇集。「女主人」は張られた伏線の意味とラストの言葉が繋がった時、ぞっとしました。「ウィリアムとメアリイ」は喜びを奪われたのならば見せつけて苛め抜こうという妻の気概や「天国への道」の倒れた暴君の夫を見殺しにした妻に餓鬼のような父の怪訝を伺う時期があった同性としては共感します。「ロイヤルゼリー」は今では御馴染みですがそれに導き出されたラストが凄まじい。「ビクスビイ夫人と大佐のコート」の皮肉や「遠野物語」の山男を連想させる「誕生と破局」も、好きな作品が多すぎます><2012/10/17
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
30
どれも不安で、かなり常識を外れかけていて、変すぎる人になってしまった人達の短編。特に面白いのが「天国への登り道」。極端に時間に遅れることを嫌がる妻と、そんな妻を鬱陶しく思い、わざと遅れて妻を苛立たせては楽しむ意地悪な夫。妻が飛行機に乗り遅れないかと死ぬほど気を揉んでいるのに、わざとゆーっくり行動して、妻の悶絶ぶりを楽しむのだ。その結末とは。おかしな人々の描きぶりがすごいです。2018/05/23
詩歌
25
勝者の歴史からみる皮肉、愛しさと残酷とユーモア、常に複数の覗き穴がある短編集。不安は、とても大きな期待が崩れる時に生まれ易いのか。安らぎも傍にあって、だからこんなに不思議な気持ちになるのか。最も衝撃を受ける、その直前に読者の前から取り上げられる事が多い。ところで菜食主義者って、なんであんなに植物に対して差別的なんでしょう?2015/05/09
きゅうり
14
ブラックで皮肉な短編集。パワハラ、子育て、不倫…男女の確執が元になってるのが多い気もする??アドルフ・ヒットラーの誕生を描いた一作は、どんな子供も愛されて生まれてきたよね、という非常にブラックなお味。「豚」では、人里離れた農家で叔母に大切に育てられた少年がまさに食い物にされる。悲惨を通り越してコメディ。2017/05/12
tomo*tin
13
これは黒くて素敵だ。容赦のない怒涛の11篇。この黒さは癖になる。しかも訳が開高健。素敵だ。「こわすぎ!」と一人で喚きながら、おもしろこわい時間を堪能した。傍から見たらそんな私の方が怖かったかもしれないけれど、まあいいや。「女主人」「ウィリアムとメアリー」「天国への登り道」「牧師のたのしみ」「誕生と破局―真実の物語」あたりが特に好き。2009/04/05
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