内容説明
会津武士の妻としての矜持を胸に自ら命を絶った神保雪子、若松郊外涙橋で果敢に敵兵と白刃を交わし戦死した中野竹子、砲術に優れ会津籠城戦に勇躍、のち新島襄の妻となった山本八重……。会津落城にまつわる七つの悲話を丹念に掘り起こし、美文に昇華した連作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どぶねずみ
26
戊辰戦争に降伏した会津藩の悲話短編集。落城とともにその時を必死に生きた人々がいるということを、忘れてはならない。会津といえば、新島(山本)八重や白虎隊が有名だが、逞しく凛々しく生きた証が今でも言い伝えられる。いつ何時でも自分も一生懸命生きなくてはならないと感動した。2016/08/15
まるるこ
14
「八重の桜」を観てから、読みたかった本。 大河ドラマは感動して泣けたんだけど、本はもっと淡々と描かれていました。それがまた、沁みるのですが。 この時代は日本中が動き、この時代を生きた人たちには、それぞれのドラマがあったんですね。 有名な新島八重や白虎隊だけでなく、女子供も年よりも、故郷のため主君のため、命かけて戦ったんですね。 2017/04/08
さくちゃん
9
会津落城の日に起きた悲劇を集めた連作短編集。神保修理の妻雪子が主人公の表題作からして読むのが辛かったです。昔から会津藩にはとても思い入れがある私にとって強く心に響く短編集でした。2017/09/20
いくっち@読書リハビリ中
6
こりゃいかん。読んでいて感極まる。2013年の私は会津にどっぷりで、毎週日曜日に泣いている。大河に先駆けて読んでしまいドラマをみたいような、見たくないような。「第二の白虎隊」のような話はドラマじゃやらないだろうから、読めてよかった。2013/05/17
rei
5
会津鶴ヶ城落城にまつわる7つの物語。神保雪子、中野竹子、山本八重ら女性を軸にした象徴的な物語から『飯盛山の盗賊』『開城の使者』のようにちょっと目線をずらした物語もあり、頁数を考えるとずいぶん読み応えがあったように思う。それにしても会津のたどった運命は過酷極まるのだけれど・・・。時代を先読みできなかったとか、旧時代に固執したとかって言ってほしくない。ただ彼らは信じた道から目をそらさなかった。その先にあるのが悲劇だとわかっても。物語に出てくる会津の人たちは、どこか全面「負け」たようには思えないのだ・・・。2012/08/08