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内容説明
本多作左衛門は、日本一短い手紙として有名な「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」を書いた武将として知られている。彼が生きた時代は、戦国の世から泰平の世へと、価値観が激変した時代。時代が変れば、時代が求める価値観に沿うように生きるのが常識的な考え方だが、いつの世にもその器用さに欠ける人物はいるものである。本書の主人公、本多作左衛門が、まさにそれに当る人物だった。「一筆啓上云々」の手紙でもわかるように、簡にして要を得る言動こそ武将の生き方と信じて疑うことを知らなかった「気骨の男」。是を是とし、非を非とする作左衛門の生き方は、いつしか「頑固者」として周囲の者の目に映るようになっていった。「聞き分けのよさ」が幅をきかす時代に、「君(主人)、君たらざれば、臣(部下)、臣たらず」の精神を貫いたのである。その場の空気、周囲の目を気にしがちな現代人にっとて、自分の真実を考えさせられる一冊である。
目次
第1章 戦国の頑固者(ホトケとオニの組み合わせ 筋を通すどちへんなし 「おれは友を失い、家康公は人を失った」 秀吉の母をふるえあがらせる)
第2章 家康と三河武士(家康の巧妙な人心掌握術 家康、ついに屈服す 屈辱をのりこえさせる頑固さ 秀吉との微妙なかけひき)
第3章 武力の時代から政治の時代へ(信長と秀吉と家康 政治家、秀吉と政治家、家 政治の時代)
第4章 天下への道(戦国時代の政治理念 東国武士と政治力 敵からも学んだ家康 天下人秀吉を敵にまわす 北条一族の底力)
第5章 頑固者の美学(忠義のつもりが不忠になる 船底の浸水 トカゲのシッポ切り 子ガメのために親ガメも異動 頑固者の末路)