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内容説明
お台場・丸の内・六本木をはじめ、ここ数年の都内の再開発には目を見張るものがある。しかし、その一方で、谷中・根津・千駄木に代表される江戸の昔を髣髴とさせる地区も、静かなブームとなっている。江戸開闢以来、数百年の歴史を背負いながら、古き良き時代の記憶をかき消していく「東京」。変転きわまりないこの巨大都市は、いったいどこへ向かうのだろうか。世界中を旅しながら、優れた文明論・紀行を物してきた著者は、巣鴨に生まれ、八十年近くを東京に過ごしてきた生粋の「東京人」。巣鴨・大塚・渋谷・中野・深川・銀座・神保町……と、思い出の地にかつての面影をたどりながら、この都市が内包する文化的深み、多様な住人たちの息づかいを見事にあぶり出していく。古き東京を知る人には懐かしさと共感にあふれ、若い世代には新たな発見と出会える好著となった。東京をこよなく愛するすべての人に贈る、達意の名随想集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
navyblue
18
哲学者森本哲郎さんの東京散歩。私の実家近くの地域の記述もたくさんあった。森本さんが子ども時代を過ごした東京は、今とは全く違う佇まいだったんだな。もちろん、私も帰国するたびに激しく変わっていく東京を驚きの目で見てしまうのだが。どうして歴史を捨ててしまうのか、との嘆きは今この歳になってみると大いに共感できる。日本橋の上にかけられた高速道路も、無くしていこうという話もあるとか。震災や戦火をくぐり抜け繁栄を築いてきたこの巨大な都市について、今後どうしてゆくのか再考する時なのかもしれない。2018/07/13