内容説明
明治・大正・昭和からつづく暮らしの手ざわり。母・幸田文に教えられ、初めて浴衣を洗った娘時代を振り返り、庭掃除に母娘のやりとりを懐かしく思い出す。その母を見送って10年が過ぎ、ようやく住まいを片付ける決心がつくのだった……。東京・小石川の家を中心に、祖父・幸田露伴からつづく“心を込めた暮らし”をこまやかな視点でつづる珠玉の随筆集。(講談社文庫)
目次
上り坂下り坂
坂を上る
こうもり
たらいの水
西瓜の舟
生姜と茗荷
この秋
お彼岸に
遠い味
鮭の上る川
おもちゃの飛行機
すすき
暮れの買物
十二支
橙
山里の犬
冷たい手
お雛さまのころ
舌ったらず
左巻き
熱帯魚
宿り木
庭箒
ケータイ
兄弟
過ぎた時
六枚のはがき
春のそら
緑光る
夏の夜
豊かな川
冬ごもり
寒明けのころ
小石川ひと昔
時の歌
巳年の春
二〇〇一年の年賀状
冷たさいろいろ
蛙の子
ファックスの