内容説明
頼朝・義経の父、源義朝を平治の乱で倒した平清盛は、武門の頂点に立った。一方朝廷では、後白河上皇が、強力な院政による独裁を目論んでいた。清盛は利害の一致する上皇と意を通じ、旧弊を打ち破る政策を次々と繰り出す。藤原官僚群が生み出した政治的停滞の打破、国内の経済構造大転換を目指す日宋貿易の拡大――。しかし、改革を志す清盛を阻む最大の難敵は、後白河上皇その人であった。画期的な清盛像を描く、第二部。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
28
改革を進めようとしても既得権益に巣くう抵抗勢力の存在、首領の権威をかさにきて威徳を汚す一族、清盛を巡る状態は現代社会を風刺しているようです。源平争乱の第二章が楽しみになりました。2022/08/07
TheWho
13
前巻で平治の乱の勝者になり部門の頂点に立った清盛が、摂関制度から院政に連なる律令政治の病巣による疲弊する国政に憂い革命的発想で構造改革に挑みながらも旧守派の頑迷な壁に悩み奮闘する。通説では、専横を極めた清盛だが、本巻では平安末期の財政破綻とも思える政権を改革すべく奮闘する姿が改革者としての孤独な悲哀がありありと描かれている。そして経済面から平安末期の有り様が、古代から中世に歴史が展開していく。次巻ではいいよ源平盛衰記がどの様に語られるか楽しみです。2015/04/02
BIN
9
2巻は戦はまったくない話。平治の乱後、腐敗しきった藤原一族の政治を打破し、改革しようとするも藤原不比等以来400年間の癌は容易に取り除くことができず、苦悩する平清盛が描かれている。貧しい平民たちの窮乏を救うべく大宋貿易を自力で初めいい出だしを始めるも、大天狗後白河法皇の「国民の幸せより自分の今の快楽が優先だ」的な行動と清盛の威圧感への反発と嫉妬により浪費を初めるし、さらに清盛は節制しているというのに他の一族はその心を知らず(知ろうともせず)に横柄に振る舞い平家の株を落としまくってる始末で可哀想2019/02/02
駿ばぱ
2
読むのに時間がかかりました。ほ〜。清盛を主人公にした場合、その権力闘争にいろんな身分の人間がでてきて、それぞれの立場であ〜でもない、こ〜でもないとやってるので、人間関係がわからなくなってくる。やっぱりこの作品も同じだなとおもいましたね。清盛が権力を握る。後白河法王との争い。そして平家の行く末にも不安が。。。でも清盛をよく見すぎているような気もするのは私だけ?2012/05/10
チェリーブラボー
2
一度は挫折しましたが、だんだん面白くなってきました。後白河法皇はほんと複雑な精神の持ち主で、こんな妖怪みたいな人とやりとりせざるを得なかった清盛が不憫です(笑)。第二巻は清盛が理想の国家建設に邁進する姿とその「目の上のたんこぶ」である後白河法皇と官僚世界を牛耳る藤原氏との神経戦が見事。それにしても、現代社会の組織内部の人間関係の問題だったり、官民の間に横たわる信頼関係の断絶だったり・・・今の世の中に置き換えて見ることができて、うすら寒い読後感になってしまいます2010/05/23