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内容説明
Iには、全4巻中、第1巻の認識論と第2巻の自然哲学を収録したが、IIでは、第3巻の芸術哲学と第4巻の倫理学の一部を収める。芸術好きの読者は、まずこのIIから読み始めてもいい。
目次
第3巻 表象としての世界の第二考察―根拠の原理に依存しない表象、すなわちプラトンのイデア、芸術の客観(意志の客体性の各段階がプラトンのイデアに当たる。個別の事物はイデアの模像であり、無数に存在し、たえず生滅しているが、イデアはいかなる数多性も、いかなる変化も知らない。 カントとプラトンの教えの内的意味と目標とは完全に一致している。 プラトンのイデアは表象の形式下にあるという一点においてカントの物自体と相違する。 ほか)
第4巻 意志としての世界の第二考察―自己認識に達したときの生きんとする意志の肯定ならびに否定(哲学とは行為を指図したり義務を命じたりするものではないし、歴史を語ってそれを哲学であると考えるべきでもない。 死と生殖はともに生きんとする意志に属し、個体は滅びても全自然の意志は不滅である。現在のみが生きることの形式であり、過去や未来は概念であり、幻影にすぎない。死の恐怖は錯覚である。 人間の個々の行為、すなわち経験的性格に自由はなく、経験的性格は自由なる意志、すなわち叡知的性格によって決定づけられている。 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
47
第三巻冒頭では俗に言われる主観と客観の双方を認識できる純粋主観(=意志)がわれわれの本性であることが語られる。また、純粋主観を見るものとしたとき、見られるものとして、客体化されたイデアを提示する。そして、ここにおいて実現不可能に近い主客合一した視点が存在することを明かす。その具象的一例が、芸術にいそしむことであり、芸術を深く鑑賞することであると語られる。もちろん、これは一例であり、そのような手段(主客合一した視点に立つこと)は瞑想的なものすべてに於いて実現可能性があることを示唆している。2020/10/23
かわうそ
46
4巻→1巻→2巻→3巻→4巻冒頭と進めていってやっと読み終わりました。本書は芸術論を中心として構成されています。『天才的な認識もしくはイデアの認識は、根拠の原理に従わない認識のことである。これに反して根拠の原理に従う認識は、実生活のうえでわれわれに怜悧さと分別とを授け、諸科学を成り立たせるところの認識である。天才的なひとびとには、後者の認識方法をなおざりにするために招来されるさまざまな欠陥がつきまとうであろう。』P47歴史に名を残した天才が時として数学が苦手だった理由もここにあるのでしょうね。 2022/12/22
加納恭史
18
ショーペンハウアーの世界が少し分かって来ると、感動にむせびます。表象と意志の世界の説明は見事です。フロイトやトーマス・マンが深く感動して、彼らの作品に反映されている。フロイトの欲動論もショーペンハウアーの意志論とほとんど同じです。次にこの「表象と意志としての世界Ⅱ」を読む。彼はカントにとっても詳しい。カントの理性批判の解説とその補足の哲学は底が深い。この第二巻はカントとイディア論の対比列伝のようだ。イディア論はプラトンの説だが、彼はソクラテスの著作も再分析しているし、インド哲学の全ては幻の説も解説する。2023/11/18
シタン
17
至福の読書体験でした。カントの“物自体”、プラトンの“イデア”が論じられた後、前巻から語られてきた科学が再び登場。次いで、ほとんどこれ以上劇的な登場のさせ方はないだろうという方法で、ある主題が導入される(p. 40)。芸術——すなわち天才の業である。乾杯。 建築、悲劇、詩文芸、……。芸術の森の深部に入ってゆき、最後に、音楽に到達する。ニーチェの『悲劇の誕生』で引用されているので以前に二度以上読んだことがあるはずだが、まったく違う印象、はるかに強い衝撃を受けた。高校時代に読んでたら人生変わっていたかもね。2018/07/29
ラウリスタ~
16
プラトンとカントの接続から。「意志」とはカントの「物自体」、「イデア」は物自体の直接的な、適切な客体性。物自体はまだ客観化されていない、表象になっていない意志。強力な自然を前にして、自分の小ささをシリ、同時にそれを認識することで「全世界の担い手」となる自分を感じる。その崇高の反対が、眺める者の意志に直接に気にいる「魅惑的なもの」と「嘔吐をもよおさせるもの」。音楽は他の芸術と違い、イデアの模写ではなく、「意志それ自体の模写」。シヴァ神(死と男根)。 自然は種族保存に真剣、個体はどうでもいい。「自殺は無駄」2017/12/31
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