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内容説明
父―皇帝―神の殺害をめぐる、原罪の物語
世界変革の夢、死刑判決、特赦、シベリア流刑とうち続く辛酸を強いられたユートピア主義者。ロシアの民に神を見つめ、世界の救済をキリストと「子」への信仰に見出す晩年。「父=皇帝=神殺し」の欲望と原罪意識との凄絶な闘いから生まれた魂の文学。その深層に迫る。
目次
第2部 聖なる徴のもとに(犠牲、欲望、象徴 使嗾する神々)
第3部 彷徨える大地の子ら(偶然の家族 プロとコントラ 解体の原理、復活のヴィジョン 「父殺し」の子どもたち)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイス
53
ドストエフスキーにとって「父殺し」というテーマがいかに宿命的なものであったかを読み解いていく作業は非常にスリリングだった。亀山さんは100分de名著でも鋭い分析と明快な語り口で「異才感」を放っていたが、結論めいた言説にいく「手前」ではぐらかすところがあるのと、謎かけのきっかけがやや独善的なので、読み進めるのにはかなり苦労した。『カラマーゾフの兄弟』はわたしにとって宝物のような小説で、軽々には再読したくないのだが、また手にとってみようかな。読友のみなさま、本年もよろしくお願い致します。2022/01/02
ころこ
37
あとがきに師匠・原卓也の名前が2度も登場し、愛憎半ばする謝辞が述べられています。「父殺し」とは、この原との関係を連想させるのは的外れでないでしょう。原が著者の思い込みをたしなめたとされるのは、どうやらドストエフスキーの思い込み気質に対して著者が小説に対する自身の思い込みをぶつけてしまったからだと読めます。一度は挫折した思いを著者はやはりドストエフスキーの思い込みに対して思い込みで応答し、今度は本書で「父殺し」として成就してみせた。著者ならば路上の中央で皇帝を殺害してみせたテロリストだとまで宣言しそうですが2021/04/29
踊る猫
25
サディズム/マゾヒズム、父殺し、その他様々な政治的/文化的トピックを軸に著者はドストエフスキーを読み解いて行く。私自身の不勉強が祟って分からない箇所も多々あったので再読が必要な本であるとは思うが、読み応えはある。ただ、ドストエフスキーを知らない読者に本書のマニアックで濃い内容が伝わるかというと心許ない。とは言え擦れっ枯らしの読者にしてみればルポルタージュ的な要素の濃い部分は余計にも感じられるのではないか。そのあたり、腰が据わっていないとも言えるしヴァラエティに富んでいるとも言える。亀山氏の底力を見た思いだ2018/02/01
amanon
9
改めてドストエフスキーという小説家の奥の深さ…というより得体の知れない不気味さ、麻薬的な中毒性を孕む魅力を痛感した次第。また、本書で列挙される幼児虐待、繰り返されるテロル、数えきれない程の凶悪犯罪や不安に満ちた世相に、今日の日本に近いものを覚えた。そして本書のテーマである〈父殺し〉という概念が、父親だけに留まらず、兄弟間にも及ぶというくだりに、思わず見につまされてしまった。いみじくも終盤で大きくとりあげられる、カラマーゾフ家のイワンと同じく三人兄弟の次男であるだけ尚更…後、『未成年』を読み返したくなった。2023/12/17
翡翠
8
ドストエフスキー本家と並行して読了。年代でなくテーマによりまとめられている為、話があちこち飛んで判りにくい面はあるが、難解な作品を読み解くにはとても助けとなる。彼の人生と照らし合わせ、作品の核となるテーマがどのように発展していったのか、なかなかに興味深いものだった。2021/05/06
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