ちくま学芸文庫<br> モーセと一神教

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ちくま学芸文庫
モーセと一神教

  • 著者名:ジークムント・フロイト【著】/渡辺哲夫【訳】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2016/01発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 330pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480087935

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内容説明

フロイトはその最晩年、自身の民族文化の淵源たるユダヤ教に感じてきた居心地の悪さに対峙する。それは、〈エス論者〉として自らが構築してきた精神分析理論を揺るがしかねない試みであり、「生命と歴史」という巨大な謎と正面から格闘することでもあった。「もはや失うものがない者に固有の大胆さでもって、……これまで差し控えておいた結末部を付け加えることにする」――ファシズムの嵐が吹き荒れる第二次世界大戦直前のヨーロッパで、万感の思いを込めて書き上げられた、巨人の恐るべき遺書。

目次

1 モーセ、ひとりのエジプト人
2 もしもモーセがひとりのエジプト人であったとするならば…
3 モーセ、彼の民族、一神教(第一部 第二部)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マエダ

94
”一神教は、帝国主義の反映として育ってきたのであって、神は巨大な世界帝国を無制約の力で支配するファラオの鏡であった。”少し苦手分野である。2016/07/03

kanaoka 58

12
キリスト教、旧約聖書に関する知識が必須であるが、歴史ミステリー小説として(読むのであれば)かなり面白い。現代において、この内容はトンデモ本クラスだろう。それは本書の難解な解説を読むまでもない。人間の思考過程は殆どがメタファーであると言われるが、フロイトによれば、歴史までもが、全ては父親と息子の心理的な関係性のメタファーにより語られる。また、本書が書かれた時代は、ナチスが席捲し、ユダヤ人への憎悪が膨張した暗黒の時代である。ユダヤ人の特有な歴史と迫害の真因へと至る、悲痛な探求としても、強い共感を覚える。2017/10/09

Z

11
エスー自我ー超自我は表象の場所を指すこともあるが表象に対する価値評価の審級でもある。快楽原則に支配されるエスと、現実原則をもたらす自我の二つの審級が衝突したとき(そのエネルギーにリビドーなる用語があてられる)神経症に人は陥るというのがフロイトの図式であり、エスが追及しつつも自我が固持するものが抑圧されたものである。エスと自我の分裂は、快楽原則のみに従うと個体に危険をもたらすことから初期の頃に別れる。超自我の分化はエディプスコンプレックス以後だが、この審級の機能は、外的世界のもろもろの審級の内在化である。外2018/09/10

Z

10
的理由による欲動の断念は不快であるのに対し、内在的理由に基づく欲動断念は、自我に代理満足をもたらす。自我は自分が高められたと感じ、まるで価値の高い仕事を達成したかのように欲動断念を誇る。この超自我は同一化によって自我の中に取り入れられる。他にエスは『夢判断』や『日常生活』が示したように、独自の思考過程をもつが、これが言語表象と結び付くと意識にもたらされるなど、興味深い指摘が様々あり、書物としては面白かった2018/09/10

あかつや

8
モーセは実はエジプト人で、彼がもちこんだエジプト生まれの一神教アートン教こそがユダヤ教のルーツであるという驚きの論文。でもそれを支える確固たる根拠はなにもない。本人もわかってて大事な所はムニャムニャっとなる。それ全部妄想じゃないっすかねえと言われてしまえばそれまで。論文そのものの内容よりも最晩年にこんなリスキーな仕事に取り組んだフロイトの真意を読み解くことに意味があると翻訳者はおっしゃる。たしかにそこが楽しみどころだろう。自身ユダヤ人であるフロイトがモーセの出自を否定するって、これお得意の父親殺しだよな。2021/02/15

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