内容説明
僕は藤山真介。徳田と河合、そして転校していった友達は、本が好きという共通項で集まった仲だったのだ――。町おこしイベントの失敗がもとで転校を余儀なくされる同級生、横行するいじめ、クラス中が熱狂しだした「植物占い」、友人の行方不明……。混沌とする事態のなか、夏休みの親子キャンプで真介たちが目の当たりにした驚愕の事実とは!? 子どもたちの瑞々しい描写と抜群のストーリーテリングで全選考委員をうならせた第八回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
70
小学4年生が主人公の夏の物語。掴みどころが無い...読んでいて掴みどころが無いのだけれど、いじめを当たり前のように、背徳を癒しのように、感じてしまう。虫を殺して楽しむ子供の頃の残酷さ、理由を付けて自らを正当化する身勝手な心、目を背けたくなる事が次から次へと続いてゆく。負のエネルギーに取り込まれてどうしてか最後まで読んでしまう。救いがない結末に塞ぎ込みながら、ああ...『川を覆う闇』と同じ作者さんだと思い出し、凄い、と実感してしまった。2021/07/20
こっち
30
これほど読んでいて消耗した作品は久し振りです。子供の世界でなんの疑いもなく行われるイジメが度を越えすぎていて、とにかく不愉快。その後の展開は直接的なグロさはほとんど無いにも関わらず、おぞましい。『誕生日がその人の運命を決める』一度はハマる占いに初めて信憑性を感じてしまいました。誰だって自分が一番可愛くて、人の気持ちを真に理解することは不可能なのだと、究極の皮肉がいっそ清々しい(笑)。ひたすらおぞましいのに読後感は悪くない、不思議な読書体験でした!2016/03/04
アルカリオン
11
第8回日本ホラー小説大賞長編賞▼文章には難はないが「現実モノ」にしてはリアリティがなさすぎて抵抗がある。終盤で納得のいく説明が提示されるのかどうか気にしながら読んだが、クライマックスでズッコケた。リアリティも説得力も皆無で安直な真相。上記の点についての説明らしき一文はあるがそれも説得力なし。夢オチの方が余程まし。異常な心理状態・思考の人物を多数登場させるのであれば相応の説得力が必要▼せいぜい、最終候補どまり。これで受賞はない。面白い「本」を薦められて読んでみたら自作の同人誌でした、みたいな気分。2022/05/24
かみしの
11
第8回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。 〈授業中に京極夏彦を回し読み〉するような不気味な子供たちが、失踪した友人を見つけるために東京に向かう、という場面から始まり、物語は思わぬ方向へ。 ミステリー仕立てで、ぐいぐいと読ませてくれます。よい意味でライトノベルのような軽い文章ながら、テーマはいじめ、差別となかなかエグく、読んでいて辛くなりました。後味も悪い。大人って汚い。八重垣は終始魅力的です。閉鎖的な民間伝承ものは独特の雰囲気があって怖い。これを押さえて大賞をとった作品が気になるくらい、面白い作品でした。2012/09/07
けいちゃっぷ
9
第8回(2001年)日本ホラー大賞長編賞受賞作。 以前『小説探偵GEDO』というのを読んで以来。 主人公たちは小学4年生という設定だが、中学生くらいという感じ。 オメラス役の同級生の少女のおかげ(?)で車椅子の少年もいじめられることなく学校へ来れる。 だが、ぽつりぽつりと子供たちが行方知れずとなって・・・。 それなりに読ませたけど、大前提となるアレは無理があるような。 昔はいつ生まれたかなんていい加減だし、親も本人も正確には分からないんじゃないかな。 389ページ 2016/09/26