内容説明
Romanesque…小池真理子の不思議な愛の物語。夜になると来訪する死んだ友。母の密やかな不倫の光景。闇に監禁される声の美しい女――懐かしさや切なさ、失われたものへの哀しみ、激しい恋が淡い色彩とともに甦ってくる、幻想とファンタジーに満ちた17篇の掌篇小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
28
小説家にとって短編は、長編以上に身が引き締まるスタイルのはずだ。ましてや掌編ともなれば、なおのこと。2000年前後に発表された掌編を集めた『午後のロマネスク』は、恋愛、幻想、ホラー等々、多様なジャンルが並んでいる。それでいて、いわゆるオチに依存したショートショート的な作品はひとつも見当たらない。それどころか、まるで長編小説の冒頭のような貫禄を漂わせている。小池真理子は短さに怖気付くのではなく、短さを完全に味方に付けている。惚れ惚れとするようなうまさだ。中でも「少女物語」と題された連作が飛び抜けている。2021/05/13
cithara
1
この短編集は金子國義氏の挿絵があってこそ生きてくるのだと思った。ほんのささいなことでもこんなに美しい短篇になるのだから、つい私にも書けそうと思ってしまうがそこがシロウトの浅はかなところ。小池氏のディテールの描写の細かさは昔からなのだな。そして死の匂いが濃いところも。『再会』は妙にじわりとくる作品。明るく現代的なコンビニとこの世ならざる者の気配との組み合わせが妙にせつない。『少女物語』と名付けられた掌編群もよかった。東京オリンピックが開催された当時の話でとてもノスタルジックでじんときた。 2012/07/05
緋茉莉
1
表紙は金子國義2011/05/03
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