内容説明
1536年、パリ。ある靴職人が行方不明になった。その事件に着手した新米夜警隊長ドニ・クルパンは、元家庭教師で天才的推理力を持つ神学僧ミシェルに協力を求める。二人が捜査を進めるうちに、やがてパリの闇夜にうごめく巨大な陰謀が明らかに……。宗教改革という時代のうねりの中、セーヌ左岸の学生街「カルチェ・ラタン」を舞台に繰り広げられる冒険と青春群像。西洋歴史小説の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
362
16世紀のパリ。セーヌ左岸のカルチエ・ラタン。ここに、ソルボンヌきっての俊才ミシェル、イエズス会のロヨラとザビエル、さらにはカルヴァンまでが集うのである。主人公は万事に冴えない夜警隊長のドニ・クルパン=手記の語り手である。メインプロットはミシェルの助けを借りてクルパンがいくつかの事件を解決してゆくというものだが、実質的には教皇庁、プロテスタントのカルヴァン、対抗宗教改革派のロヨラ等が混沌と蠢く16世紀のパリそのものが描かれる歴史ロマンだが、文体はエンターテインメント小説を指向しているようだ。2022/12/31
ehirano1
83
フランシスコ・ザビエル、イグナチウス・デ・ロヨラ、ジャン・カルヴァンなどの宗教改革期のガチの知識人達が登場し、偽回想録というメタフィクション的手法により臨場感は高まるばかり。かと思いきやエロ(ちと多めかな)とパロディもあって、「性と宗教」や「知と欲望の葛藤」も本書のテーマに包含されているのではないかと思いました。2025/12/20
nnpusnsn1945
48
電子書籍にて読了。ダメな夜警隊長とひねくれ修道士のコンビの掛け合いが面白い。宗教改革期のパリを舞台にしたミステリー小説だが、昔の書物の体裁をとって時代背景をうまく説明できている。実在したザビエルやカルヴァンから、フィクションのノートルダムの鐘でお馴染みのカジモド等が重要人物として登場している。なお、割りと堕落した町が舞台ゆえ、18禁な描写が多い。2022/09/27
松本直哉
33
ザビエルとロヨラとカルヴァンが一堂に会して議論を交わす場面はむろん虚構だとしても、同じ時期にセーヌ左岸で学んだ仲間同士、すれ違ったことぐらいはあるはずで、この時期のこの場所が新しい宗教思想運動の胚胎する土壌だったのは間違いない。折しも檄文事件で新教への弾圧が激化しつつあり、カトリック内部でも新教寄りの思想をもつものも現れ、誕生直後でまだ胡散臭い目で見られていたイエズス会もその一つで、彼らに共通するのはカトリックの旧弊への批判だった。教会に屯する売春婦や彼女らとの情交にうつつを抜かす神父らの描写が冴える2022/12/17
ピンガペンギン
28
舞台は16世紀のパリ。主要登場人物は大手船会社の次男坊(この人はお坊ちゃんという感じの性格)と、マギステル・ミシェルというパリ大学神学部の秀才で女たらし。イエズス会の創始者ロヨラ、ザビエル、そしてプロテスタントを興すカルヴァンも登場する。前半に人が殺されるのでミステリーにもなっている。しかしその謎に自分は今ひとつ惹かれず、今回は後半に行くまでに至らず。パリの雰囲気はおもしろいとは思ったのだが。作者特有なのか下ネタが多い。その描き方もちょっと苦手だったかなあ。2026/01/22




