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内容説明
りそなの会計士はなぜ死んだのか
2003年4月、りそな銀行を担当していた朝日監査法人の会計士が自殺した。
経済誌「エコノミスト」記者の著者はその事実をいち早く知り、スクープした。
その直後、りそなは実質国有化への道を歩む。
朝日監査法人が決算直前、新日本監査法人との共同監査を降りていた事実も明らかになった。
著者は会計士の死、監査辞退、りそなショックという一連の流れを整理することで、会計士が死を選んだ真相を探る。
死後、メディアの多くは「厳格査定を貫こうとした会計士に対し、りそな側と監査法人上層部が結託して反発したことへの抗議の自殺」と解釈した。
だが、実は自殺した会計士をリーダーとする監査チームは、繰り延べ税金資産を一定年数認めるなど、むしろ「甘め」に見積もることで、りそなを救おうとしていた。
しかし、リスクとリターンをはかりにかけた経営判断として監査法人上層部はその考えを否認、共同監査を降りることを決定した。
現場の交渉役である会計士は、極度の疲労の上に徒労感、虚無感に襲われ、死を選んだと著者は分析する。
会計士の死、朝日の共同監査辞退は新日本監査法人の監査姿勢に影響を及ぼしたと著者は見る。
関係者の死の真実を丹念に追うことで、「りそなショック」の本質を浮かび上がらせている。
目次
第1章 「ショック」の1週間
第2章 会計士の世界
第3章 死と豹変
第4章 金融担当大臣のリベンジ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
えちぜんや よーた
85
13年も前の本を図書館から釣り上げてきた。第2章「会計士の世界」を読んでいると、古きよき時代の馴れ合い監査から厳格監査の時代への過渡期が未だ続いている気がする。一連の東芝の粉飾会計問題について検察庁と証券等取引等委員会が歴代社長を起訴するかどうかで激しいバトルがくりひろげられていると聞く。1人の公認会計士の自殺をテーマとした本だが、放置しておくと、「日本の企業は粉飾決算多く、証券取引所は地雷原だ」と外国人投資家に皮肉られとてしまう。結果、日本国内にお金が流入せず、下々の生活が困ってしまう。早く何とかして!2016/12/20
こうせいパパ
40
会計制度変更の過渡期に起きた事件。りそな国有化のポイントは繰延税金資産の捉え方だったと言われるが、担当の会計士はなぜ死んだのか。なぜ自宅マンション12階から飛び降りたのか。結局その理由は明らかになっていない。2015/03/22
貧家ピー
5
りそな銀行が国有化される前に、会計士が自殺していたのか。厳格な監査と人の情に流される感情の間に揺れるのは分かる気はする。 会計士と言えども人間。2005/01/14
くろっぽじん
2
真相は結局不明。当該会計士はプロフェッショナルだった。しかし、政治や協会、組織、銀行の様々な不正に思い悩んでいたことが推測される。母親の、「生きていてほしかった」というコメントが胸に突き刺さった。
ハティー
2
意外な結末だった。ドラマみてるよう気持ちで一気に読み終えた。2021/09/25




