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内容説明
外に敵。内にも敵。過酷な戦火の中、揺れ動く沖縄住民たち。宿命として、その時代その場所に生きる事しか出来なかった人々の悲劇――。受け入れがたき戦争の真実を描く、読み切り6編を収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
喪中の寺ちゃん
58
沖縄の戦争を扱った素朴な絵柄の漫画で、文化庁メディア大賞受賞と聞くと、要するに「ためになるいい漫画」で、つまらないものだと思いがちであるが、誤解である。この漫画、時代小説の短編集のように面白かった!。米軍から攻撃され、日本兵からは蹂躙された沖縄人の仇討ち的な物語が中心。冒頭の『カジムヌガタイ』は『七人の侍』的味わいがあり、ラストの『イシムヌガタイ』は琉球武術vs剣術である。痛快とほろ苦さのある短編集だ。どれも映画にすれば良い。比嘉慂の漫画は以前『美童物語』が面白かったので信用していた。孤高の寡作漫画家だ。2017/09/08
みーなんきー
22
タイトルは風が語る沖縄戦の意。沖縄の人々は、アメリカ軍からも日本軍からも、ひどい扱いを受け、基本的人権すら踏みにじられてきた。その頃の悲しみや不条理を描いた本作には、戦時中威張り腐っていた兵隊が戦後コロリと態度を変え、罰せられることなく生き延びる様子も出てくる。読後、読者が幸せになる事を祈願して描いた、と著者の前書きがあるが、内容が内容なだけに重く深刻な後味が残る。2016/03/07
こら
21
沖縄戦を描いた短編集。だけど、体育座りをして観させられる「良い子の反戦物」ではなく、読む『コンバット!』がピッタリかな。村を蹂躙する不良米兵を敗残日本兵と村人達が協力し迎え撃つのは『七人の侍』だし、サイや琉球武術対日本刀のシチュも燃える!敗戦が分かると、さっさと変装し逃げようとする悪逆非道な日本兵が艦砲射撃直撃ドッカーン!される所は、主人公と同じく「そうこなくっちゃ!」と喝采!様々な角度から読める 良質短編集!2018/02/19
澤水月
19
離島を含め沖縄戦で起きた悲惨な出来事、米軍だけでなく敵の多くは実は友軍(日本兵)。本土決戦防止の捨て石とされた人々の様々な“敵討ち”の短編集。七人の侍張りの策略もあれば琉球空手と真剣の戦いもあり重い話を痛快にも読めるように仕上げる手腕は見事。マラリヤの蔓延る島に疎開させまさに無駄死にさせる轟の顛末。だが恐らく現実には胸のすく敵討ちはそうはなかったであろうと思われる。各小さな字単位の史料の政治的目論見のないけど研究公開が望まれると痛感(米兵への敵討ちは風説から、一部字史からもある)2017/10/07
たまきら
19
この時期、読み返す気持ちになる本です。 忘れてはいけないこと、疑問を持たねばいけないことがたくさんある。夫が録画しておいた沖縄の写真家石川真生のドキュメンタリーを見つつ。人生は生き残るための戦いの記録なんだなあ。2017/06/22