内容説明
日本にもかつて防諜、謀略を担っていた極秘の組織があった。その名は通称「ヤマ」。戦後これまでも世に出ることはなかった存在である。わずかながらの手がかりを元に生き残りの関係者や資料をたどっていくと、次第に驚くべき実態が露になってきた。信書の開封、電話の盗聴、スリを使った秘密文書の入手、時に人殺しすら……。そして定説を覆す、「二十世紀最大のスパイ事件」ゾルゲ一団の摘発の真相も明らかに。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
犬養三千代
8
戦前に影のように存在したらしい防諜機関をライターが追いかける。友源次郎という人か残した資料で構成されている。登戸研究所、陸軍中野学校との関連。偽造紙幣の製造は経済戦に勝つため。そして、スパイの暗殺。戦後固く口を閉ざしてきた91歳のYさん。今で言う黒歴史。戦後のまともすぎる経歴の暗部、触れられたくないのはよくわかる。だが、現在でも必要な部署であることに変わりはない。2020/04/09
ヘタ
3
血税の支出の仕方、付与された特権の行使の仕方、民主的なコントロールをするわけにはいかない分野、防諜・諜報活動。本書に登場するヤマ機関構成員の使命感にただただ脱帽。2014/08/30
aeg55
2
先日気になった「ヤマ機関」の連ツイより興味を持ち読んだ ヤマ機関に関する書はほとんどなく、2003年出版のこの本が本当に初出のようだ 友源次郎氏の息子が書き取った"オーラルヒストリーの記述が情報のほとんどを占める 偽造法幣や諜報活動など戦前戦時中の様々な動きを合わせ知っていると興味深い ヤマ機関と陸軍中野学校、登戸研究所との関連性、そして、731部隊との類似性などさらに興味深い 2018/07/19
Happy Like a Honeybee
2
チャンドラーなどのハードボイルド小説を読む展開。 戦前、最大の官僚機構であった帝国陸軍。 その中で幻の機関がヤマであった。 本物のスリを雇用し秘密文書を入手する。偽造紙幣を製造できる技術力の高さ。ゾルゲ事件の背景。 そして事実を語らない人。戦前の諜報活動は遜色なし2015/03/29
wei xian tiang
1
邦家のため命懸けで防諜に従事し、職務の性質上戦後も業績を明らかにすることもなく、恩典もなく、家族にも語ることなく、残りの人生をひっそりと隠れて過ごした方々のことを想うと、頭の下がる思いである。情報管理は国の大事。かの忌まわしき馬菅政権下では、中核派や外国機関に繋がる胡乱な人物にまで安易に官邸パスを発行していたという。暗黒時代と言う他ない。2014/08/25
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