内容説明
将軍家光の死に際し、殉死しなかった祖父と、遊里で横死した兄。この二つの屈辱感を払拭するため、永井尚長は傲慢にふるまっていたのだが……。自らの生を見誤った者たちを描く歴史短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ27
5
短編9編が収められている。最近の読書が軽い方向へ走っていたせいか、重い、実に重い文章であり内容。 押しつぶされた封建施政にあって、縦横に主従と同輩の目が光る毎日。うっ屈しない方が当たり前の精神世界で知らず内に人生街道の側道に歩みを入れてしまう男たちを清張はうっそりと見つめる。 戦国、元禄、幕末とあるが明治開明期も2編。名ばかりの明治で江戸期を色濃く残した人々の恩讐、刃傷沙汰である事がよく解る。 時代の歩みは施政側の思惑とは別に苦しく歩んで行った牛歩なのだと嘆息が。2013/04/12
AZALEA
0
★★★★2009/09/14