講談社文庫<br> シェエラザード(下)

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講談社文庫
シェエラザード(下)

  • 著者名:浅田次郎【著】
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • 講談社(2015/03発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062736107

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内容説明

弥勒丸引き揚げ話をめぐって船の調査を開始した、かつての恋人たち。謎の老人は五十余年の沈黙を破り、悲劇の真相を語り始めた。私たち日本人が戦後の平和と繁栄のうちに葬り去った真実が、次第に明るみに出る。美しく、物悲しい「シェエラザード」の調べとともに蘇る、戦後半世紀にわたる大叙事詩、最高潮へ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三代目 びあだいまおう

245
『シェエラザード』千夜一夜物語を元に作曲された交響組曲がタイトル、謎の男が真相を語り始めるラストはこの曲をBGM に大事に読み進めた。小説自体は壮大で大変素晴らしい!さすが浅田先生、蒼穹の昴シリーズと共に最高傑作だろう。誰からも愛された弥勒丸が何故沈没したのか、真相を知り、またも戦時中の身勝手な輩どもに怒りを覚え、人を人とも思わぬ不条理に泣いた。しかし弥勒丸の中には現在にも連なる儚くも美しい愛が、そして誇りが確かにあった‼️解説で話のモデルを知る。せめて天国での幸せを祈る❗悲しく響く「よーそろー」‼️🙇2018/12/20

HIRO1970

134
⭐️⭐️⭐️一体、何連敗でしょう?浅田さんは本当に裏切らない安定したパワーの作家ですね。題材の元ネタは阿波丸事件だとの事ですが、戦時下のそれも最末期の荒廃し切った世情の中で、命の軽重が計れなくなった軍部が思いついた迷案は余りに過酷で、追い詰められた熱狂的で宗教的な集団だからこそ考えそうな人間の盾という最期の手段に打って出ます。超豪華で巨大な北米航路客船の中での日常は、余りに優雅で秩序と規範に相応しい典雅な調べが聴こえてきます。題名のバックグラウンドにクルー達のウェルカマボーの声が聴こえてきそうでした。2014/09/18

s-kozy

117
あの戦争から50年、バブル経済がはじけた後の東京で従業員8名の怪しげな小さい金融会社の幹部2人(軽部と日比野)が、中華民国政府の宗英明から「百億円貸してほしい」と頼まれる。なんと戦争末期に台湾沖に沈められた豪華客船・弥勒丸をサルベージするというのだ。軽部は弥勒丸の真実を知るためにかつての恋人、敏腕新聞記者の久光律子に接近する。物語は軽部らの現代サイドと連合国側の捕虜向けの救援物資を運ぶ弥勒丸の(最後の)航海とを交互に描きながら進んでいく。やがて明らかになる弥勒丸の航海の本当の目的、乗船した人々や(続く)2014/10/07

nobby

105
誇り高き海を行く者達がその姿・性能に惚れて止まない大型客船弥勒丸。悲しいかな、その運命に逆らわず散っていく彼らに迷いはみられない。最後の船長による電文に嗚咽が止まらない。上層部による戦況把握の操作により翻弄される様はどの作品で目にしても憤りでいっぱい。2000名の命を盾に攻撃しまいと高をくくったのは許せまい、一方それが分かっていて撃沈した方も許し難い。忘れてはならないことを呼びおこす、それが自分の務め、人類の義務、いつまでも胸に刻むべき想いだ。2016/05/17

ユザキ部長

104
日本が夢に見た、大義の申し子はシンガポールにいた。噂が故意に操られ人々が死に向かう。明らかな日本の大陸経営の失敗。弥勒丸は人柱、人間の楯を乗せる。そし て公には誤爆とされ襲撃にあう。愚かな戦争、間違った判断。過ぎたことだから忘れてしまっていいのですか?一人の人間としてこだわりを捨ててはいけない。2017/11/09

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