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内容説明
こころが定まらない――。こうした思いを抱きながら、わたしたちは日々を送っている。日本人のこころに衰えが兆しているのではないか。他者と共感する力。人間の背後に隠されている〈崇高さ〉あるいは〈凶悪さ〉への感受性。死に対する態度。定まらぬこころがこれらを不確かなものとしている。本書は、長年日本人のこころを見つめ思いを巡らせてきた著者による、揺るぎないこころを持つためのレッスンなのである。
目次
第1章 こころの原風景
第2章 「語り」の力
第3章 人間、この未知なるもの
第4章 私の死の作法
第5章 精神性について
第6章 伝統のこころ、近代のこころ
第7章 眼差しの記憶
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かやん
4
死の作法と放っておくと子どもは野生化する。が興味深かった。2013/10/23
うりぼう
3
こころにも作法がある。日本人は、型が好き。形が決まれば、安定する。多様化する、個性化することは、型を失う。エントロピー増大の法則。そのせめぎ合いにこころも揺れる。2002/11/16
壱萬弐仟縁
2
「もっとも普遍的で重要な人間の飼い慣らし装置が『学校』というものではなかったか」(61ページ)との痛烈な批判がある。現在のいじめ問題を生み、生徒と教師の信頼関係や、教員の不祥事が絶えなくなってくると、その学校という学び合いの場の意義を問わざるを得なくなる。学校は、一望監視装置のパノプティコン(J.ベンサム)という権力装置でもあり、だから、飼い慣らされる生徒の教育とは、そんなものか、ということになってしまう。管理教育の弊害が飼いならしやいじめという陰湿な形で、盗撮という形で、露見したのだ。残念である。2012/08/09
ceskepivo
2
人間は、他人そして自分のこころに対して謙虚にならなければならない。「悲哀の旋律を忘れた社会というのは、ひょっとすると他人のこころの痛みや悲しみに鈍感になっているのかもしれない」(6頁)、「人間、この未知なるもの、というメッセージにたいする謙虚な姿勢が欠けているのである。」(57頁)。最近流行った悲哀歌って何だろう。我々は、「こころは分からないもの」という前提で、他人そして自分に向き合う必要があるのではないか。2010/02/08
こたちゅう
1
副題でいうほど、製紙とか死生観の話ではない。しかし、筆者の他の本でもそうだが、知識の幅が広くて驚かされる。こういった教養というか、引き出しをたくさん持った人になりたいと思う。古今東西色々な思想や宗教、文学の話が出てくるが、決して難解な文章になっていないところがすごいと思う。まるでエッセイのようだ。ほかの本も読んでみたいと思う。2018/08/07