内容説明
時代小説の一時代を画したヒーローたち。その魅力をたっぷりと味わうアンソロジー。気鋭の文芸評論家、縄田一男の選、解説による文庫編下し第一弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
58
かつての幕末のヒーロー・鞍馬天狗のアンソロジー。野尻抱影の弟・大佛次郎は関東大震災の後、外務省を辞め、生活の為に時代小説に手を染める。その鞍馬天狗の第1作『鬼面の老女』と、その元ネタであるイギリスの大衆作家ゴーグの『夜の恐怖・金扇』(大佛訳)が併録。鞍馬天狗らしさ横溢の『黒い手形』、勝海舟を守る『西国道中記』、創作秘話エッセイ『鞍馬天狗と三十年』に編者の縄田一男の解説が付いた1冊。面白く読了。第1作が出たのは大正13年(1923年)。明治維新からまだ50年程である。今の戦後70年程はヒーローを産んだか?。2017/11/27
モリータ
8
シリーズ第一作の「鬼面の老女」のほか2編が収録されているが、「鬼面の老女」の元ネタの海外作品が収録されているのが楽しい。これはゴーグというイギリスの大衆作家の連作短篇『夜の恐怖』で、確かに、主人公が別にいるのにいきなり出てくる「夜の恐怖」は、誰だかわからないけど凄腕のいいやつ、という点で鞍馬天狗と同じ。2017/06/30